母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。
第27回 眠れる宝石の価値を引き出すリフォーム
以前の対談で、ルビーを海外に買い付けに行くと仰っていましたよね。Refineさんではリフォームや修理がメインの業務だと伺っていますが、今もなお買い付けをされるんですか?
そうですね。でも、リファインの店舗をやり始めてからはそれほど頻繁には行かなくなりました。店舗をやる前はタイなんかによく買い付けに行っていたんですけど。
ふ〜む、なるほど。ちなみに今リフォームを依頼されたお客様から「こんな石を使いたい」というリクエストがあった場合は、以前のように宝石だけを買い付けに行くこともあるんですか?
いや、リフォーム用の石ならほとんど国内で調達できるんですよね。例えば「指輪とセットでピアスも作りたい」というご要望があった場合など、国内の取引業者をあたっていくつか提案できる石を探しますね。
ははぁ、なるほど。でも似た石がそんなにピンポイントで見つかるものですか?
よほど特殊な石でない限りは、けっこう見つかりますよ。宝石市場には非常に幅広い種類の石が流通していますから。
そうなんですねぇ。素人にはなかなかイメージできない世界です(笑)。ちなみにリフォームの場合、元々ついている宝石があるわけじゃないですか。そこに新たな宝石を追加する、みたいなこともあるわけですか。
ああ、そういうケースもありますよ。「元々持っているルビーの指輪をもっと豪華にしたい」というような場合、メインのルビーの周りにエメラルドやサファイア、それもブルーだけでなくピンクやイエローのものも並べて、色とりどりのデザインにすることもできます。
おお、それは見ているだけで楽しくなりそうですね! でも前回、真珠の価格がかなり上昇していると仰ってましたよね。他の宝石の価格も上がっているんじゃないですか?
確かに全体的に上昇していますね。円安の影響や日本の不景気の問題もあって、なかなか品物が入りづらくなっているんです。良質な品物は景気のいいところに集まりますから。
ああ、なるほど。一方で日本は今、中古の宝飾品がたくさん眠っている「宝の山」だとも言われていますよね。昔買って家に保管されていた宝石を、海外に持っていって売るという商売がすごく流行っている。
そうなんです。つまり、品物が入ってこない上に、良品がどんどん流出しているわけです。世界では「メイド・イン・ジャパン」の時代から「ユーズド・イン・ジャパン」の時代になった、なんて言われてますよ。
みたいですね。日本人って質のいいものを持っていて、しかもそれを丁寧に使っているから、それ自体がブランドになっていると聞きました。でも日本人自身はその価値に気づいていなかったりして。
そうそう。当たり前にやってることだから、特別なことだとは思わないんでしょうね。
だからあまり深く考えず買取業者に売ったりするんだと思うんですけど、リフォームをして価値を上げてから売った方がいい気がするんですよね。
本当にそう思います。とはいえ世代によってトレンドも変わっていて、今は昔のような何十カラットもあるような宝石を好まない方も多いんですよね。
ああ、確かに。大きな石の指輪を付けた若い子なんて見かけませんもんね。
そうそう。それよりも華奢なデザインの方が人気で。そういう世代間のギャップもあるかもしれません。
なるほどなぁ。それにしても、これだけ宝石の相場が上がっていることを考えると、売られているものをそのまま買うよりも、実家で眠っていたものをリフォームして好きなデザインにして使った方がいいと思うんですよ。その方が価値のあるものをお手頃な価格で手に入れられるわけで。
その通りだと思いますね。最近もすごく状態のいい真珠のネックレスをお持ちになったお客様がいらっしゃって。「母から譲り受けたんだけど使ってないからどうしようか」と悩んでいたそうなんです。
へぇ。まさにお宝が眠っていたわけですね。
ええ、そうなんです。おそらく購入されたときの数倍の価格にはなっているはずですからね。
へぇ〜それはすごいなぁ。中古品って売っても二束三文になってしまうイメージがどうしてもありますけど、宝飾品に限ってはそうではないということですよね。
ええ。一定以上のグレードの宝石であれば、基本的には買った時より価値が上がっていることが多いと思います。
なるほどなぁ。そう言われると、ますます修理やリフォームをして大切に使いたくなりますね(笑)。
本当にそうですね(笑)。皆さんにも、ご自宅やご実家に眠っている宝石がすごく価値のあるものだと気づいていただけると嬉しいです。
そしてその魅力をRefineさんで再び輝かせてあげることができたら素晴らしいですね。
対談している二人
望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表
25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。