第29回 リフォームでジュエリーをもっと身近に

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第29回 リフォームでジュエリーをもっと身近に

安田

望月さんは宝石に関わるお仕事を長くされているわけですが、洋服と同じように、宝石にもトレンドというか、時代ごとの流行りってあるんですか?


望月

そうですねぇ。Refineを始めてから15年になりますが、洋服のようにどんどん流行が移り変わるということはないですね。

安田

へぇ、そうなんですか。ジュエリーもファッションの一部だから、流行り廃りがあるのかと思ってました。


望月

数十年単位の大きな傾向はありますけどね。例えば今は昔のようなゴージャスな感じより、シンプルなものが好まれます。「シンプルで普段使いできるもの」を求める方が多くなりました。

安田

ああ、なるほど。わかる気がします。そういう時代ですもんね。


望月

もちろん「ゴージャスな方がいい」という方も中にいらっしゃいますけどね。ただ割合でいうと全体の1割くらいじゃないかな。

安田

ふーむ。それはジュエリー自体の流行だけでなく、ジュエリーリフォームの世界もそうなんですか。


望月

ええ、同じですね。昔作った立て爪の指輪を、高さを抑えたものにリフォームしたい、みたいなご依頼が多くなっています。高さがあるとどうしても主張が強くなりますし、引っかけたりもしやすくて、普段使いしにくいんですよね。

安田

なるほどなるほど。とはいえ宝石自体の大きさは変わらないわけで、どうやって高さを抑えるんですか?


望月

昔のデザインは、爪を高くすることで石の存在を強調するものが多いんですね。だから爪を低いものに変えるだけで随分印象は変わります。

安田

確かに昔の指輪って、「つけてますよ!」と主張するようなデザインでしたもんね。宝石=目立たせるべきものって感じでした。


望月

そうそう。大きなダイヤの周りに小さなメレダイヤを散りばめたデザインとかね。ああいう派手なデザインはもう流行りませんね。今はどちらかというと目立ちたくない方のが多いので。

安田

じゃあ宝石自体もダイヤ以外の方が人気だったりするんですか? 


望月

ああ、それで言うと今でもダイヤが一番人気ですね。

安田

ははぁ、あんまり派手には見られたくないけど、ダイヤはつけたいと(笑)。さりげなく身につけて、ちょっと気分が上がったりするのを楽しむ感じなのかもしれませんね。ちなみに爪の高さを変える以外の方法もあるんですか?


望月

そうですね。立て爪のような爪留めではなく、覆輪(ふくりん)留めという、石の周りを金属で覆うやり方をすることもありますね。

安田

へぇ、そんな方法もあるんですね。とはいえ大きな石だったらどうしても存在感がでますよね。そういう場合はいっそのことネックレスにしちゃった方がいいような気もするんですが。


望月

ああ、そういう方もいらっしゃいますよ。石をそのままペンダントヘッドにしてしまうというパターンですね。

安田

やっぱり。ネックレスなら洋服の中に入れて目立たなくすることもできますもんね。それにしても、世の中全体が「シンプル」を求めるようになってきているんですねぇ。

望月

そうなんです。リフォームだけでなく販売されているジュエリーも、全体的にシンプルなものが主流になってきています。石だけがポンッと付いていて、アームの部分は飾り気のない細いものとか。

安田

ああ、確かにネックレスもすごく華奢なものが増えてますよね。ちょっと引っ張ったら切れてしまいそうなくらい繊細なチェーンに、小さな石が付いているような。私が「宝飾品」という言葉から想像するイメージとは真逆ですけど(笑)。

望月

そうですね(笑)。ともあれ、また数十年したら豪華で派手なものが好まれているかもしれません。

安田

確かに。…ちなみにふと思ったんですが、ゴテゴテした大きな指輪をシンプルで小ぶりなものにリフォームしたら、金属部分が余ったりしません?

望月

仰る通り、余ることもありますね。そういう場合は買取りさせていただいて、その分材料費から引かせていただいたりしてます。

安田

へぇ、余った分は買い取ってもらえるんですね。それはいい。

望月

ええ。いくつかのジュエリーを合わせてリフォームされたい場合などは、逆にこちらからお金をお支払いすることもありますよ(笑)。リフォーム代が10万円で、買い取り分が15万円ということもあったりするので。

安田

へぇ! リフォームしてもらってお金ももらえるわけですか。それは素晴らしいなぁ(笑)。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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