母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。
第40回 外資が動かす宝飾業界の未来
少し前に真珠で有名なTASAKIが買収されたっていうニュースがありましたけど、前回2017年に外資の会社が買った時は300億円だったらしいんです。それが今回、1000億円で香港のファンドに買収されたそうで。つまり7年で3倍以上になってるわけですよ。
それでいうと、真珠自体の価値も3倍くらいになってるんですよね。完全にそれだけが要因ではないでしょうが。
そうかそうか。確かに真珠の価値が中国を中心にめちゃくちゃ上がっているというお話でしたもんね。さらに言えば、今回買ったファンドは、さらに価値が上がると踏んだから買ったわけですよね。つまり2000億円とか3000億円に今後なっていくだろうという予想しているってことですよ。
確かに、ファンドが買ったという時点で、そういうことですよね。
メジャーリーグでもファンドが球団を買収して10年後に10倍の価格で売る、みたいなことがたまにありますよね。日本ではあまりないですけど。
確かに確かに。親会社がお金に困った結果、新しいオーナーが来るくらいで、だいたいどこかの会社がずっと牛耳ってるイメージですよね。そういえば昔ホリエモンがフジテレビを買収しようとしてましたけど、うまくいきませんでしたね。
そうでしたね〜。当時、フジテレビの親会社であるラジオ局の株価がめちゃくちゃ安かったんですよね。それでそのラジオ局を買収すれば、フジテレビも傘下に収められるという。結局実現はできなかったですけど、あの時にホリエモンに買ってもらっておいた方が、むしろ今よりテレビの価値は高かったかもしれない(笑)。
ああ、確かにそうですね(笑)。経営上手な人が買ったら、ものすごく変わる可能性もありますもんね。そう考えると、「誰が経営者をやるか」ってすごく重要ですね。
そうですよ。今回買収されたTASAKIも、これからどんどん変わっていくんでしょう。ちなみに真珠で有名な会社というともう一つミキモトが思い浮かびますけど、あちらの方がブランドは上なわけですよね。
そうですね。日本で最初の真珠を作ったということもありますし、認知度で言っても、ミキモトの方がかなり上だと思います。ミキモトとTASAKIで比べると、8対2くらいじゃないかな。
へぇ〜、そんなに違うんですね。でもそれも今回の買収でTASAKIに外資が入ったことで、時価総額が逆転することもあるかもしれませんよね。
ええ。その可能性は十分あると思います。
そうですよね。今はセブンイレブン然り、円安で日本の企業がどんどん外資に買われてますよね。そうすると「日本の魂を売ってしまった」みたいな見方をされることが多いですけど、果たして本当にそんなに悲惨なことなんだろうかとも思うんです。それによって大きな成長を遂げるかもしれないわけで。
まぁそうですね。賛否は常にあるでしょうけど、時代がどんどん変わっているのは事実ですからね。カルロス・ゴーンが日産のトップになった時とは状況は少し違いますけど、あんな風に外資が入って従来の概念を崩していかないと、成長はないんだろうなという気はします。
確かになぁ。これからあらゆる業界でそういうことが起こってくるんでしょうね。
まぁ、私自身が反省するところでもありますが、日本の宝飾業界は後発だと思いますね。小さな業界ですし、まだまだアナログなので、本当に革命のようなことが起きない限りは、昔からの風習が根強く残るんじゃないかという気がします。
そうなんですね。でもその一角に外資が入ってきたわけで。これから一気に変わっていくかもしれませんよ。
対談している二人
望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表
25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。