第44回 インバウンド需要で輝きを増す日本の中古ジュエリー

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第44回 インバウンド需要で輝きを増す日本の中古ジュエリー

安田

今日は前回の続きで、「Refine×インバウンド」についてもっと深掘りしてみたいんです。海外のお客さん、つまりインバウンドの方に向けたほうが、私はジュエリーがよく売れると思っていて。


望月

そうかもしれませんね。ただ正直、僕には今までそういう視点が全然なかったんですよ。日本人向けか外国人向けかということも考えたことがなくて。

安田

でも実際どうですか? 中古ジュエリーを旅行中に買って帰るインバウンド需要は、けっこう大きいんじゃないかと思うんですけど。


望月

確かに日本旅行の記念に何か買って帰ることは多いですよね。骨董品や伝統工芸なんかは、「日本でしか手に入らない」という特別感もあるでしょうし。

安田

それもありますけど、今だとそれ以上に「お得感」がポイントじゃないかなと思うんですよね。例えば、インドネシアの人たちが東京の御徒町で布やボタンを大量に買っていくのも、価格と品質のバランスがいいからで。


望月

ははぁ、なるほど。確かに御徒町みたいに専門店が集まっていて、品ぞろえが豊富なところは魅力的でしょうね。しかも円安の影響もあって思ったほど高くない。もっとも海外と一口に言っても、国によって欲しいものは変わるんでしょうけれど。

安田

それでいうとジュエリーはわりと普遍的なので、どの国でも価値を感じてもらいやすいんじゃないかと。しかも海外で新品を買うより、日本の中古ジュエリーをリフォームしたほうが安くて品質もいいとなれば、少しPRを工夫すれば、十分に市場を作れると思うんです。


望月

そうか。割安感が出ているところに加えて、中古への抵抗が少ないという背景もありますよね。日本みたいに中古が敬遠されることもないから、むしろ魅力的かもしれない。

安田

そうなんです。しかも「日本人はものを大事に使う」というイメージが海外にはありますから、品質に対する信頼も厚い。そこをうまくアピールできれば、さらに可能性が広がるはずです。なんだかんだ日本製というだけで安心感があるわけですし。


望月

確かに。そのイメージを宝飾業界もしっかり活用すべきだということですね。

安田

そうそう。実際に、日本にはまだまだ良質なジュエリーがたくさん眠っているわけです。ブランドにこだわらない人にとって、日本の中古ジュエリーは質が高くて割安。海外から見れば大きな魅力ですよ。


望月

そう考えると、「仕入れて加工して販売する」というのは、「修理」と「リフォーム」に続く、新しい柱になりそうです。Refineショップの仲間たちのためにも、真剣に考えてみようかな。

安田

絶対にやった方がいいですよ。特にRefineにはジュエリーリフォームの知見や実績が山のようにあるわけで。今後も観光客は増え続けるでしょうから、インバウンド市場は非常に有望ですよ。


望月

なるほどなぁ。実は今から1時間くらい前に、友人から「奥さんの実家にあるジュエリーを売りたい」と写真を送ってもらったところなんですよ。20個くらいあって、まさにお宝発掘ですよね。そういうのが実は山ほどあるんでしょうね。

安田

絶対にあるはずですよ。大抵は金の価格だけで買い叩かれたり、二束三文になってしまう。そこを少しでも高く買い取れるなら、売る側も嬉しいし、こちらもそれを販売して利益を出せる。まさにWin-Winですよ。


望月

ははぁ、確かにそうですね。うちは修理も加工も自社でやれますから、石を磨いて新品みたいにするのも得意分野です。確かに、それを活かさない手はないですね。

安田

そうですよ。 そういった事業をまだやられていないのが不思議なくらいで(笑)。

望月

いや本当に。今までそこに意識が向いてなかったことに、ちょっと悔しさすら覚えます(笑)。

安田

いやいや、今から取り組んでも全然遅くないと思いますよ。インバウンド需要を取り込むことで、これから全国に展開するパートナーの方たちも恩恵を受けられますし。

望月

確かにそうですね。大きな収益源が増えれば、仲間たちのモチベーションも上がりますし、Refineのサービスの認知度も高められそうです。

安田

日本の中古ジュエリーが「高品質で割安、しかもリフォーム済み」という価値を打ち出せれば、海外の人たちにも十分響くと思います。しかも日本ブランドとしての付加価値を付けることで、SNSでの発信もしやすくなる。

望月

それこそ「ジャパニーズ・アンティークジュエリー」みたいな、新しい呼び方を作って世界にアピールすれば面白そうですね。大塚のお店にも海外のお客様を呼び込めるし、3店舗をもっと活性化できるといいなぁ。

安田

いいですね! 海外から来る人は日本でお金を使うことを目的にしている部分もありますから、そこに「中古」のお得感と安心感が加われば、かなり強みになるんじゃないでしょうか。

 

 


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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