庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第102回 プロと育てる、庭のある暮らし

中島さんが庭を設計する時は、「できるだけ手間がかからないこと」をすごく重視されるじゃないですか。とはいえ「手間がかからない」ということを突き詰めてしまうと、それはもう庭でなくなってしまうような気もして。…伝わりますかね?

そうそう。かといって、毎週何時間も手入れしなきゃいけない、みたいなのも現実的じゃない。そう考えると髪の毛と一緒なのかもしれませんね。伸びっぱなしはだらしないけど、かといって毎週美容院に行くのはやりすぎだという(笑)。

確かに(笑)。その間のちょうどいい塩梅を見つけるのが重要なんだと思います。「一切手間がかからないわけでもないけど、続けられないくらい負担にもならない」というポイントですよね。例えばモミジは誰が植えても季節を感じさせてくれるすごくいい木なんですが、成長がかなり早いので、維持するのが結構大変なんですよ。

そうなんです。さらに言えば、剪定も難しいんですよ。大きく切りすぎると、そこからものすごい勢いで枝が伸びてしまったりするので。いわゆる「徒長(とちょう)」という状態ですね。

うーん、確かにそうとも言えなくはないんですけど(笑)。ただ公園や川沿いのような広いスペースにあるならまだしも、やっぱり一般住宅の庭でキレイに維持するのはなかなか難しくて。…というのも、実は私、自宅の庭で試しに植えてみたんです。

それぞれ適切な時期はありますね。例えばツツジは花が終わったらすぐに切ってあげた方がいいです。一般的には、常緑樹は6〜8月、落葉樹は10〜12月に剪定するのがベストです。

そうですよね。プロに任せた方がいい部分もあるけれど、自分で手をかけないと愛着も湧かないでしょうし。年に2〜3回プロのメンテナンスを入れたら、家主さんはどのくらいの頻度で手入れすればいいんでしょう?

決まった頻度というよりは、落ち葉が気になったときに軽く掃除していただくくらいで十分です。あとは防草シートの上に砂利を敷いた場合でも、種が飛んできて草が生えることがあるので、目についた時に取っていただくとか。

そうですね。花の付け根(花がら)から切っていただくと、次もよく咲くようになりますので。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。