第39回 1000万円で庭付き一戸建てを持つ

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第39回 1000万円で庭付き一戸建てを持つ

安田

以前、美濃加茂市への移住に興味があるというお話をしていた時に、空き家を買ったら100万円くらいでリガーデンできると仰ってましたよね。でも後から考えたら、安すぎるような気がしてきて(笑)。


中島

笑。元々そこにある石などを再利用してお庭を作るので、材料費がそこまでかからないんです。木を移植したり石を動かしたりして作り変えるイメージですね。

安田

ははぁ、なるほど。でも、それはそれですごく手間がかかりそうですけど、100万円でできちゃうんですか。


中島

そうですね。50~60坪くらいの一般的な空き家であれば、材料はある程度現地で調達できると思うので。

安田

なるほど。じゃあ空き家を買ってリガーデンをお願いするとして、どんな風に変わるんですか? 建物は「リフォームしたらこう変わるんだろうな」とイメージしやすいんですが、お庭はなかなか想像が及ばなくて。


中島

まず何より利便性が上がります。たとえば駐車場の広さや位置を変えることで、使い勝手がかなりよくなりますから。

安田
そうか。まずは機能面が改善されるわけですね。でも中島さんのことですから、当然景観も考えるわけでしょう? 元々あった自然石を使うとなると、日本庭園風のお庭になるんでしょうか。

中島
日本庭園風にもできますし、和風と洋風の中間のような感じにもできます。自然石でも置き方次第でけっこういろいろな雰囲気を演出できるんですよ。
安田
へぇ、必ずしも和風のお庭で考えなくてもいいんですね。ちなみに古い家だと生垣やブロック塀があるイメージですけど、それは壊しちゃうわけですか。

中島

もちろんオーナーさんのご要望次第ですが、特に必要がないようでしたら取ってしまいますね。高さのあるブロック塀は危険だったりするので。

安田

なるほど。中島さんは植物や石で適度に目隠しされた庭を作るのが上手ですもんね。つまりリガーデンでもdirect nagomiさんが得意とするデザインを実現できるわけですね。


中島
ええ。感覚としては新築とそこまで変わらないですね。
安田

なるほど、安心しました。ただ、私が気になっている空き家は元農家さんのお家なんです。敷地内に畑や納屋があって、小さな村のようで素敵なんですけど、200坪以上ある。それだとさすがに100万円では難しいでしょう?


中島

ああ、なるほど。確かに200坪となると、ちょっと難しいかもしれませんね。とはいえ、畑や納屋など元々の配置を活かしてお庭を作ることは可能なので、新規で作るよりはお安くできるかなと。

安田

なるほど。ちなみに、なぜこんなにしつこく聞いているかと言うと、中島さんのお兄さんにリフォームをお願いして、中島さんにリガーデンをしてもらったら素敵だろうな、と思っているからで(笑)。例えば50~60坪くらいの土地にある空き家をリフォームするとなると、どのくらいの費用がかかるものなんでしょうか?


中島

床やクロスの張替えだけならそこまでかからないと思います。キッチンやお風呂などの水回りを直すと金額はどうしてもかかりますが……

安田
うーん、まぁ、傷んでいるところは取り替えて綺麗にした方がいいですもんね。

中島

そうですね。だいたい皆さん500万円くらいの予算でリフォームされているようです。逆に1000万円以上かかるのであれば、建て替えちゃった方がいいのかもしれません。

安田

なるほどなぁ。ということは、空き家を活かして使うなら、リフォームとリガーデンで600万円くらいの費用感なんですね。空き家の値段を入れても、トータル1000万円くらいで「自分好みの庭付き一戸建て」が持てるかもしれないと。


中島
そういうことになりますね。ちなみに一般的に空き家は耐震に向いていないと言われますが、岐阜は地盤がすごく硬いので、空き家を買って住むにはいいところだと思います。
安田
確かに岐阜は地震が少ないと聞いたことがあります。

中島
岩盤の上に立っているような感じで、地盤調査員の方々も液状化しにくい土地だと言ってました。
安田
専門家の太鼓判を押されたわけですね。ますます美濃加茂移住に興味が湧いてきました(笑)。

対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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