潜在マーケットの境目

すでにある需要ではなく、
まだない需要を掘り起こすこと。
それを潜在マーケットの創出と呼ぶ。
こういう書き方をすると
iPhoneやFacebookのような、
巨大マーケットをイメージする人が多い。

だがそのような巨大市場を
掘り起こせることは稀である。
さらには巨大な投資と、数多くの優秀な人材、
黒字化するまでの期間も必要となる。
AmazonもGoogleもそうやって掘り起こされた
巨大企業ではあるが、
私がオススメしたいのはもっと小さな発掘。

我が社だけが、あるいは私だけが食べていくのに、
十分なマーケット。
それを手に入れるのだ。
価格競争がなく、巨大資本が入ってくる心配もない、
小さなビジネス。
巨大マーケットと違い、
小さなビジネスの種はそこら中に眠っている。

既にあるビジネスとまだないビジネス。
残念ながら多くの人は前者を選ぶ。
確実だというのがその理由である。
確かにマーケットはそこにある。
顧客もそこにいる。
だが確実に需要があるビジネスは、
確実に価格競争が繰り広げられるビジネスでもある。

本気で価格競争を抜け出したいのなら。
価格ではなく価値によって選ばれる仕事がしたいのなら。
私のオススメはまだないビジネス。
すなわち潜在マーケットの掘り起こしである。
ただし、このマーケットには向き不向きがある。

確実性、短期での成果、数値化できる指標。
そういうものを求める人には向いていない。
何しろまだない需要なのだ。
やってみなければ掘り起こせるかどうかは分からない。
いつ結果が出るのかも分からない。

そんなあやふやなビジネスができるか!
と即答する人はやらないほうがいい。
まず成功しないからである。
確かに100%とは言えない。
だがかなりの高確率で成功すると私は考えている。
なぜならこれはガソリンではなく
地下水を汲み上げる原理だからだ。

固い岩盤もあり、水脈に到達するまでの深さも違う。
だが掘り続ければ確実に水はでる。
ガソリンを掘り当てることは難しい。
巨大な水脈を掘り当てることも難しい。
だが自分たちが生きていける程度の水は、
掘れば必ず出てくる。
マーケットとはそのようにできているのである。

ただしそこに到達するには継続と工夫が必要だ。
出ると信じて掘り続けること。
常に工夫しながら掘り進めること。
そのエネルギー源となるのは
「この仕事が好き」という動機。
損得ではなく好きで始めること。
それが潜在マーケットの境目。

 


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