庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第60回 「半人前庭師さん」の持つ可能性

最近「半人前大工さん」っていうのが流行ってるんですけど、聞いたことありますか?

でも趣味の世界ではDIYが流行っていて、ちょっとした家の修理や簡単なリフォームなら自分でやりたいという人は一定数いるわけです。そういう人たちにプロの大工さんが技術を教えるというスクールが神戸にあるそうで、その名前が「半人前大工さん」。

そうですそうです。講座の半分は座学で、大工の心得とか基礎的な内容を学ぶ。残りの半分が技術講習で、実際に木材を使って何かを作ったりするんだそうです。最初は数十人単位で始まったんですが、今では100人ぐらいすぐに埋まってしまうほど人気なんですって。

そうなんです。で、その話を聞いて思ったんですけど、「半人前大工」と同じように、「半人前庭師」を作ったら人気が出るんじゃないかと思いまして(笑)。前回お話した「1人の庭師を育てる」のとはだいぶ違う方向のアプローチにはなりますけど。

中島さん自身が学校を作ったり教えたりする時間はないかもしれませんけど、造園業界全体でこういう取り組みを考えるのもおもしろい気がして。大工さんの業界では、素人や趣味の延長で技術を学ぶ人が増えていますし。

確かに、美味しいものを食べるのが好きとか、ファッションが好きとかと同じように、庭づくりが好きって人がいるかもしれませんもんね。そういう人が技術を身に付ければ、剪定一つとっても変わってくる気がします。

そうですよ。うちの近所でも、ビルの1階に植えられている木なんかを定期的に手入れしてるんですけど、電動ノコギリのような機械で直線的に切るだけなんですよね。これって剪定と言えるのかな、なんて思ってしまって(笑)。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。