第32回 死を意識することで、より良く生きられる。

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第32回 死を意識することで、より良く生きられる。

安田
私は今58歳なんですが、最近は同年代で亡くなる方も増えてきて、自分もそういう年代に差し掛かってきたなと思うんです。

久保
私も安田さんと同年代なので、同じような場面によく出くわします。亡くならないまでも、癌や病気が見つかって入院したり手術したり。そういう人が周りに増えてきましたね。
安田
そういう方たちって、当たり前のことかもしれませんが、すごく焦っているんですよ。で、なんで焦るのかと考えてみると「死期」を考えていないからなんじゃないかと思っていて。

久保
あぁ、なるほど。そう言われてみるとそうかもしれませんね。突然「死」が現実味を帯びてしまったから焦るのかもしれない。
安田
こういう話をすると、みんな「安田さん、死ぬことばっかり考えすぎですよ〜」って笑われるんです。でも私から言わせると、55歳も過ぎた人がいつまでも生きられるかのように思っていることのほうが衝撃で。

久保
もう20代30代のような若者ではないだろう、と?(笑)
安田
ええ。同い年の誰々が死んでショックだとか、癌が見つかってあと何年生きられるか心配だとか。いやいや、逆になぜいつまでものほほんと生き続けられると思っているの? と思うわけですよ(笑)。

久保
きっと「死」は自分にとってまだまだ遠い先の話だと思っているんでしょうね。
安田
少しややこしい言い方になってしまうのですが、私は「ちゃんと生きるためには、ちゃんと死んでいくことをしないといけないのではないか」と思うんです。

久保
なるほどなぁ。死ぬことに向き合うからこそ、ちゃんと生きられると。みんなきっと、平均寿命までは絶対生きられるという感覚で生きていらっしゃるんでしょうね(笑)。
安田
だと思います。でもそんなの、厚かましいにもほどがありますよね(笑)。

久保
笑。私は時々「もし明日死ぬとしたらどうするか」ということを考えるようにしています。
安田
ああ、それはいいですね。自分の人生を見直すキッカケになりそうです。

久保
まさにそうなんです。ちょっと話がずれますが、以前受けたセミナーで、スケジュールの立て方を聞かれて。で、多くの人がまず仕事のスケジュールを手帳に書き込んでいたんですよ。
安田
真面目な日本人らしい(笑)。

久保
ところがセミナーの先生からは「だからいつまでたっても夢が実現しないんです! まずは自分の一番大事なことを入れるのが、本来のスケジューリングなんですよ」と言われましたよ。
安田
なるほど。自分にとって大事だと思うことからスケジュールを組みなさい、ということですか。

久保
はい。まず、本当にやりたいこと・大切なことをやる時間を確保しないと、結局は無駄な時間が多くなってしまうんだそうです。
安田
それでいうと、私は予定を決める時は最初にどこで長期休暇を取るか決めて、家族旅行の予定を入れ込みますね。で、残った時間で仕事をします(笑)。

久保
素晴らしいです(笑)。我々が若い頃は会社や組織に所属しているのが当たり前で、自分の予定を優先させるのが難しい時代でしたよね。でも今は時代も変わりましたし、視点を変えていくべきなんでしょう。
安田
そもそもスケジュールにとりあえず仕事を組み込むというのも、ずっと生きられることを前提に考えているからこそだと思ってしまいます。

久保
そうですよね。自分がやりたいことを「仕事が落ち着いたらやる」「老後の楽しみに取っている」と後回しにしている人も多いイメージです。
安田
ですよね。でも人生は意外と短いんだぞ、と。だから一度死にかけた人とか常に死を意識している人の方が、とても有意義に生きていらっしゃいますよ。

久保
同感です。
安田
そもそも「死」について考えることをネガティブに捉える人が多いのも、私には疑問で。だって人間は絶対に死ぬんですよ?(笑)

久保
本当ですよね(笑)。平均寿命はあくまでも「平均」ですから。平均寿命75歳くらいというのは、90歳を超えて生きている人もいるけど50代60代で死んでいる人もいるということなので。
安田
自分が早く死んでしまう可能性だって大いにある。だから私は55歳を過ぎたらいつ死んでもおかしくないという気持ちで生きていく方が、よっぽどポジティブに生きられると言いたいわけです。

久保
わかります。「1ヶ月後に死にますよ」と言われた人が、「じゃあこの1ヶ月はカラダに悪いお酒を控えます」なんてことはしないですよね(笑)。死期を意識することで、自分のこれまでの価値観がガラッと変わるんじゃないでしょうかね。
安田
結構つまらないことに時間を使っているんだということが露呈しそうです(笑)。

久保
確かにそうかもしれない(笑)。
安田
多くの人が、「死ぬことなんて考えず、ダラダラと生きていくほうがポジティブで素晴らしい」と思っているみたいなんですよね。あとは「長生き」と「延命」が区別されないことも気になっています。

久保
たくさんの機械に繋がれて、ただ心臓を動かし続けているだけの状態に意味があるのだろうか、ということですか。
安田
ええ。でもそういうことを言うと、「冷たい人間」だとか「命をなんだと思ってるんだ」とか言われるわけです。でも私は無理やり延命する方がよっぽど尊厳を傷つけている気がして。

久保
そうですね。延命されている状態が、本当に「人生を大切に生きている」ことに繋がるのか、私も疑問に思います。
安田
久保さん、ぜひ「死ぬことを考える会」を作って語り合いましょうよ。死ぬことを考える=生きることを考える、だと主張していきましょう!

久保
そうですね(笑)。悔いを残さず死ぬためにも、生きているうちから死を意識して、なぜ生まれてきたのかということを考えて生きていきたいですよね。
安田
本当にそうですね。人間は100%死ぬんですから、のほほんと生きているなんてもったいないと思います。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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