庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第75回 住宅の変化とともに進化する庭の未来
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そうですね。時代によって家のデザインや構造はどんどん変化していますので、それに併せて庭の在り方もどんどん変わっていくわけです。日本庭園が減っていったのも、瓦屋根の家が減ったこととかなり相関関係があるはずで。
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現代は、多くの家がトタン屋根ですね。トタンは軽くて耐久性もあり、地震の時も瓦のように落ちたりしません。それにスタイリッシュな仕上がりにできるので、最近はすごく人気で。
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そうですね。数寄屋造りなどの日本建築でなければ、和のデザインのお庭を提案することは少ないです。かといって完全な洋風建築ばかりかというとそうでもないんです。和洋折衷というか、フラットな雰囲気の家がすごく増えている。
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ええ、まさに。そういうお家に完全な洋風庭園を持ってきてもミスマッチになってしまいますから、うまくバランスを取りながら最適なプランを提案させていただいています。もっとも、洋風建築にすごく手の込んだ日本庭園が作られていることもあって、むしろミスマッチを楽しむというスタイルもあって。つくづく奥の深い世界だなと。
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そこを両立してもらえるのが中島さんならではですよね。ところで中島さんから見ると、日本の住宅は今後どちらに向かっていくと思いますか? もっと洋風に寄っていくのか、あるいは和のテイストに戻っていくのか。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。