第81回 信長ゆかりの寺で楽しむ借景とウイスキー

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第81回 信長ゆかりの寺で楽しむ借景とウイスキー

安田

今日は先日お話した「借景巡り」について、もう少し深掘りしてみたいなと。もし第一弾として岐阜で借景巡りをするとしたら、どこかおすすめの場所はありますか?


中島

そうですね。借景が美しい場所はたくさんあるんですが、行きやすさなどを考えると少し限定されるかもしれません。

安田

ああ、なるほど。確かに車でしか行けないところも多そうですしね。


中島

そうなんです。しかも近くに停める場所がなかったりすると、車で通過しながら眺めるしかなかったり(笑)。

安田

そうかそうか。それは写真を撮ることも難しそうだし、ちょっともったいないですよね。…でも、そういう他人が入りこまない場所にこそ、知られざる「名借景」がありそうですけど(笑)。


中島

そうかもしれません(笑)。ああ、それでいうと、岐阜城の麓にある織田信長ゆかりのお寺は、バスでも行けるのでおすすめです。街なかではあるんですけど、綺麗ですよ。

安田

ああ、「信長の位牌」が安置されているお寺ですよね。岐阜城に行った時に聞いたことがあります。


中島

そうですそうです。昔は信長公が植えたといわれている大きな松があったと聞いています。今はその松自体はなくなってしまったんですが、桜もたくさん植えられていますし、苔がすごくきれいなんですよ。

安田

なるほど〜。そういう古い建造物やお庭が楽しめるのはいいですね。


中島

ええ。実は今そのお寺の庭園をリフォームさせていただいているんです。ちょうど照明が完成したところなんですが、これから「ウイスキーバー」のイベントを開催されるそうで。

安田

えっ? お寺でウイスキーバーですか! 面白いですね。


中島

そうなんです。外からは見えない場所に中庭があるんですが、そこが会場になっていて。モミジとドウダンツツジの立派な木があって、紅葉の時期はすごくきれいですよ。

安田

へぇ〜、その木を眺めながらウイスキーを飲めると。いいですねぇ。ちなみに、今回はどういうご縁でリフォームのご依頼があったんですか?


中島

10年ほど前に僕が以前勤めていた京都の会社に管理の依頼があって、そこからのご縁ですね。本堂の建て替えも予定されているとのことで、それまでの間のお庭の手入れや改修をお任せいただきました。

安田

なるほどなるほど。その建て替えに合わせてバーも始めちゃうわけですね。


中島

ええ。若い人も含めて、より多くの方に来てもらうための試みだと仰っていました。もっとも、常設のバーを新たに建てるということではなく、今ある建物を利用して不定期に開催されるもののようです。

安田

なるほどなるほど。でもお寺も檀家さんの減少で大変だとよく聞く中で、建て替えをしたりイベントを打ったりできるのはすごいですね。


中島

そういった課題は岐阜のお寺にもあるんじゃないでしょうか。岐阜城の周りはすごくお寺が多いですし、だからこそいろいろ新しい打ち手を考えて、実施されているように思います。

安田

ははぁ、なるほど。収益アップを目指すなら、インバウンド需要に注目するのもいいと思いますね。高野山でも1泊20万円の宿泊プランが人気だったりするようですし。

中島

1泊20万円ですか! でもそこまで振り切る方がいいのかもしれませんね。先ほどのウイスキーバーのように、立地や環境を活かしていけると尚いいのかなと思います。

安田

そうですね。…あれ、でもお寺ってお酒を飲んでもいいんでしたっけ。

中島

大丈夫みたいです。檀家さんにも相談されたそうなんですが、皆さん好意的な反応だったようで。

安田

それなら安心ですね。ともあれ岐阜のお寺に限らず、お寺ってどこも澄んだ空気が流れていて心地よいので、いろいろなビジネスが考えられそうです。

中島

そうですね。「借景巡り」を通じて、歴史を感じる佇まいを感じられるような、景色を楽しむ場所としても浸透していったら嬉しいです。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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