第170回「17歳の自分探し」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第169回「会社と社員のチキンレース」

 第170回「17歳の自分探し」 


安田

いま私の周りで流行ってますよ。石ちゃん先生のやつ。

石塚

大人のなりきり進路相談ですか。

安田

それそれ。clubhouseでやってるんでしたっけ?

石塚

そうです。毎週金曜よる8時。

安田

「高校生に戻って進路相談してみる」という番組ですよね。聞いた人がみんな「すげー」って言ってます。

石塚

そうなんですか(笑)嬉しいですね。

安田

具体的にはどういうことをされるんですか?

石塚

「自分の適性を知ると人生や仕事で成功しやすいよ」っていうのが大前提で。でも自分の適性って、なかなか分からないじゃないですか。

安田

ほとんどの人が分かってないですよね。

石塚

いい大人が自分の適性を知るって難しいんです。なので「みんな高校2〜3年生ぐらい、17歳に戻ってみよう」と。

安田

面白そうですね。

石塚

その戻り方もいろいろあって、完全に戻りきってもいいし、いまの現状を引きずりながら戻ってもいい。

安田

へえ〜。

石塚

「いま、もう1回戻ったら、17歳でどういう人生の進路選択をしますか」という設定をするわけです。

安田

本当の17歳の相談を受けてるわけじゃなく、大人が相談に来るわけですね。

石塚

はい。みんないい大人です(笑)

安田

17歳に戻ったとして、「さてさてどうする?」みたいな?

石塚

そう。人生のいちばん大きな選択ってその年齢なので。

安田

そうなんですか。

石塚

義務教育は中学までだけど、みんなだいたい高校に行くじゃないですか。

安田

はい。

石塚

高校を卒業すると、それで就職して働く人もいるし、大学に行く人もいる。つまり、人生の最初の選択を迫られるのが17・18歳。

安田

高校2〜3年生ってことですね。

石塚

そう。

安田

大学に行くのか、働くのか。

石塚

そこをまずちゃんと考えようと。大学に入ってからじゃ遅い。ここが進路選択の原点なので。

安田

なるほど。

石塚

日本では進路選択を大学選択とすり替えちゃってます。

安田

たしかに。

石塚

適性とか関係なく「安田くんは偏差値これぐらいだから、国立の2期校に行ったらどうか」みたいな。

安田

そんな感じですよね。

石塚

適性と何の関係もない。偏差値だけ。

安田

大学進学率って50%を超えてるんでしたっけ?

石塚

超えてます。

安田

誰でも大学生になろうと思えばなれる時代ですよね。

石塚

なれます。

安田

「とりあえず大学に行っておく」ということに、あまり意味がないと。

石塚

いまの大学生の就職活動って、相当なレベルで志望動機や志望理由を聞かれるわけです。それにうまく答えられないと、まあ見事に就職が決まらない。

安田

そうなんですか。

石塚

そのときにみんな直面するんですよ。「そもそも自分って何に向いてるんだろう?」って。遅いよ!って話ですよ、もう。

安田

22歳では遅いと。

石塚

だって、このスピードの時代、時間もお金もこれだけ大学に費やしてやりたいことも分からないって。こんな逆説的なことはないじゃないですか。

安田

何しに大学に行ってるんだか。

石塚

でしょう。

安田

石塚さんの番組に相談に来る方って何歳ぐらいですか。

石塚

40以上のおじさん・おばさんが多いかな。

安田

その方達をまず、17歳まで戻す作業をするわけですね。

石塚

そうです。「高校生のとき、どんな高校生でしたか?」とか、いろいろ聞いていくんです。

安田

何分ぐらい聞くんですか。

石塚

だいたい15分〜20分ぐらい聞くと分かっちゃう。

安田

「17歳のAさんは、こういう方向に行ったほうがよかったね」ってことが分かる?

石塚

まず「Aさんってこういう人だよね。たぶん物事の捉え方はこういうふうにするんじゃない?」と。

安田

ほう。

石塚

それがいいとか悪いとかじゃなく、「Aさんはこういう物事の考え方をする特性があるよね。するとこういうことに向いてるから、進路としてはこういうふうに考えたほうがいいよ」と。

安田

FBIのプロファイリング捜査みたいですね。

石塚

やってることは同じかも(笑)「具体的にどこがいいんですか?」「具体的にはここがいいよ。こういうことを目指すとすごくいいと思う」っていうトークを1時間ぐらいします。

安田

具体的な職業として、その人にアドバイスしてあげるわけですか。

石塚

おっしゃる通りです。

安田

すごいですね。だけど実際にはもう40過ぎてるわけですよね。今更わかっても遅くないですか?

石塚

そうなんです。だからみなさん土日ずっとモヤっちゃうらしいです。

安田

ですよね。

石塚

でも、そのことによって自分の適性の原点がわかると「じゃあ今はどうしたらいいか」っていう現実的なことが考えられるわけです。

安田

すごく冷たい言い方になっちゃいますけど、いま17歳の子にアドバイスしてあげたほうがいいんじゃないですか。

石塚

歳に関係なく「一度、自分の原点に立ち戻る」ってことが大事なんです。

安田

なるほど。それが分からないまま死んじゃう人もいますからね。

石塚

「チャンスロスしたな」っていうギャップを感じることで、「残りの時間はどうしていかなきゃいけないか」ってことに真剣になりません?

安田

なるかもしれません。だけど、どうせなら17歳の子のほうが有意義な気がします。

石塚

実際そういうケースもあるんですよ。相談者の息子さんや姪っ子さんが来たり。

安田

どうでしたか?

石塚

本当に17歳だと客観性に欠ける部分が少しあるかも。いまの自分を客観的に見るって難しいですよ。40代だから17歳の自分自身を客観的に見ることができる。

安田

なるほど。ちなみに「適性どおりの仕事をやってます」って方もいるんですか?

石塚

これまで1万6,000人ぐらいと話したけど、ズバリって人は10人いなかった(笑)

安田

そんなに少ないんですか!?ということは、ほとんどの人は自分の適性じゃないことをやってる?

石塚

残念ながらそれが現実ですね。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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