第84回 洋風庭園の中にある「和の余白」

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第84回 洋風庭園の中にある「和の余白」

安田

direct nagomiさんのホームページに載っている「花や木に囲まれた洋風の庭」がすごく印象的で、詳しくお聞きしたいなと。こちらはお家が洋風だから、それに合わせてお庭をデザインされたんでしょうか? 


中島

いえ、お家はそこまで洋風というわけではないんですが、ミモザやオリーブ、ハーブ類をたくさん入れて庭を作りたいというご要望をいただいて。以前お話した治療院さんのお庭をご覧になってお声がけくださったそうです。

安田

ああ、私も覚えています。なるほど、じゃあ最初から洋風のイメージを持って依頼されたわけですね。…でも写真を見ると、完全な洋風という感じでもないような気もします。かといって和風ということでもないんですが……


中島

そうですね。「しだれ梅」の大きな木があるので、少し和風なイメージもありますよね。

安田

ああ、そうかそうか。確かに、梅の木って和な雰囲気がありますもんね。でもそうなると、逆に疑問が湧きます。洋風のお庭にしたいという要望なのに、なぜあえて梅の木を入れたんですか?


中島

この梅の木は、お庭にもともと生えていたものなんです。そちらを残したいというご希望がありましたので、洋風の樹木や花と組み合わせながらバランスをとっていきました。

安田

へぇ〜そういうことだったんですね。そういえば和風庭園にする場合は、「不要なものを省く」という発想が大事だと先日お聞きしましたが、洋風庭園の場合はどうなんですか?


中島

一般的な洋風庭園であれば、全面に花を植えるようなデザインが多いかなと思います。ただ、今回はあえてそうせず、ある程度の余白を持たせています。

安田

ほう、それはどうしてですか?


中島

冒頭にお伝えしたように、お家の雰囲気は完全な洋風建築ということではなかったので、和風庭園の「引き算の美学」も意識した余白をつくりました。少し余白がある方が、家の中から眺めた時に景色として楽しめるという理由もあります。

安田

なるほどなるほど。さすがガーメントデザイナーですね。家に衣服を着せるようにデザインされている。


中島

ありがとうございます。お客様としても、洋風のお庭をご希望されながらも梅の木が浮いてしまわないか心配されていたんです。ですので全体として調和がとれるようなデザインを心がけました。

安田

ああ、確かに完全な洋風庭園にしてしまったら、梅の木だけちょっと雰囲気が違っちゃいますもんね。なるほどなぁ。ちなみに梅の木以外はどんな木を植えたんですか?


中島

ミモザという春に黄色い花が咲く木と、オリーブを2本。あとはローズマリーやタイム、ラベンダーなどのハーブ類ですね。お花を楽しみたいと仰っていたのと、オリーブは葉の質感がお好きだということで。

安田

いいですねぇ。ハーブを育ててそれをお料理に使うような楽しみ方もできるわけですね。かつ和風を意識した「余白」もあって、景色としてもしっかり楽しめる作りになっている。


中島

ええ、仰るとおりです。自分としても、長く楽しんでいただけるお庭を作れたんじゃないかと思っています。

安田

素晴らしい。まさにオーダーメイドなお庭なんですね。「家の庭にはどんなテイストがいいんだろう?」と悩んでいる方は、ぜひ中島さんにお問い合わせしてみてください。きっと世界に1つだけの素敵なお庭を提案してくださると思いますよ。

 

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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