第3回 1000億企業を目指す方法

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第3回 1000億企業を目指す方法

安田
倉橋さんは「都市では商売しない」、つまりローカルでの商売を掲げ、実際に東北・北海道エリアで多数出店をされているわけですけど。聞くところによると「海外進出」も視野に入れているとか。

倉橋
そうなんですよ。というのも、我々はいま「25万人以上の商圏があるところ」にひたすら出店し続けているわけですが、東北・北海道で考えると、あと3年もあれば全箇所にお店を作れちゃうんですよ。
安田
まあ、東北・北海道に限定すればそうですけど。でも関西とか九州とかも残っているわけじゃないですか。そっちには行かないんですか?

倉橋
行かないですね。……いや、このビジネスの法則に10年前に気付いていたら、もしかしたら全国出店も考えたかもしれません。でもやっぱり僕の中では「10年遅かったな」というのがあるんですね。そういうことで、次は海を超えた東南アジアで勝負しようと思ってます。
安田
東南アジアですか。具体的にはどこの国を考えているんですか?

倉橋
まずはベトナム、タイ、フィリピンの3ヶ国ですね。それらの国の大都市に出そうと思っています。
安田
あれ? 「都市では商売しないって」言ってるのに、海外では都市に出すんですか? 話が違うじゃないですか(笑)。

倉橋
笑。まあ、見方によってはそうなんですけど。でも、状況としては東京より東北・北海道のマーケットに近いんです。流通している商品ボリュームが非常に少ないので、大都市なんだけどローカル的な考え方で勝負できるんですよ。
安田
ああ、なるほど。情報はネットで行き渡っているけど、商品の供給が追いついていないと。でも、バンコクにしてもホーチミンにしても、マーケット規模で言えば25万人どころじゃないでしょう?

倉橋
もちろんそうです。100万、200万どころか、1000万人規模のマーケットですね。
安田
1000万人! でもそんなマーケットなら、強い競合もいっぱいいるんじゃないですか?

倉橋
うーん、そうでもないと思ってます。これが例えば「バンコクにスーパーマーケットを出す」という話なら、どうやって競合に勝つかを徹底的に考えないといけない。でも、私たちのリユース事業、それも日本のサブカルチャー専門店という意味では、それほど多くの競合はいません。
安田
ははぁ、なるほど。確かにスーパーマーケットとは違いますよね。ちなみに、取り扱うのは日本のカルチャーだけなんですか? アメリカアニメとか、ローカルのサブカルなんかもあると思うんですけど。

倉橋
そこはジャパニーズカルチャーに絞ります。日本のサブカルが好きって人は海外にも大勢いますからね。
安田
そういう話は耳にしますけど、本当なんですかねえ。

倉橋
すごいですよ。特に先ほど挙げたタイ、ベトナム、フィリピンには確実に存在してます。それこそ北海道の郊外に住んでいる子が鬼滅の刃を知っているのと同じです。ネットがあれば海外からも日本のサブカルには触れられる。
安田
なるほど、ネットを通じてファンになっていると。でも、日本のように簡単に商品が手に入る訳ではない。そこにビジネスチャンスがあると。

倉橋
仰るとおりです。現地で日本のサブカルグッズを売っている店はまだまだ少ないので。
安田
でも、それだけのニーズがあるなら、商売にしようと考える人もいそうですけどね。現状はいないとしても、仮に万代さんが成功したら、それこそ中国の企業なんかが模倣品を売り出しそうな気もするんですけど(笑)。

倉橋
まあ、そういうこともあるかもしれませんね。ただ、そこは万代が日本企業、しかも日本でサブカルチャーを専門的に扱ってきた会社だということで、ある程度は信用してもらえると考えています。
安田
なるほど。「万代の商品は本物だ」というブランドで勝負できると。でも逆に、日本企業が後追いで出店するかもしれませんよ。

倉橋
まあ、そうなったらまた、ちょっと外れの地方都市に移っていこうかなと(笑)。マニラからちょっと離れた中規模の都市に出店する。地方で勝つメソッドは私たち、持ってますから。
安田
なるほどなるほど。これまでの経験とノウハウが活かせるわけだ。それにしても、東南アジアにそんな大きなチャンスがあるんですねぇ。

倉橋
そうなんですよ。僕は東南アジアを「40年前の日本」だと見てまして。どんどん国が発展していて、それに伴い国民の所得も倍増している。そう考えると、次に何が当たるのかはだいたい見えてくるんです。
安田
ああ、なるほど。八百屋がスーパーに変わり、学歴社会になって塾が増えたり、スポーツジムができたり。

倉橋
まさにそういうことです。だから私は最終的に、日本の売上より東南アジアでの売上のほうがずっと大きくなると考えてます。それこそ、桁ひとつ違うくらいに。
安田
へえ! ちなみに今の万代さんの売上っていくらでしたっけ。

倉橋
今は170億円くらいですね。
安田
ということは、将来的には1000億円企業になるってことですか……すごいなぁ。

倉橋
もちろんそうなりたいと思っています。2025年まできっちり国内で大きくして、2026年からは海外。そこまでのビジョンは固まっています。

対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に13店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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