第17回 日本の若者が世界で大活躍する時代

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第17回 日本の若者が世界で大活躍する時代

安田
最近のスポーツ界では、日本人選手の活躍が目覚ましいですね。

鈴木
本当に。二刀流の大谷翔平君とか、ちょっと前だとゴルフでマスターズ優勝した松山英樹君とか。同じ日本人として鼻が高い!
安田
ほかにも、ボクシングの世界4階級制覇王者の井上尚弥君や、フィギュアスケートの羽生結弦君など、世界中で注目されている飛び抜けた存在が続々と出てきています。

鈴木
こうやって改めて見ても、すごいメンツだなあ(笑)。
安田
本当ですね(笑)。でも我々が若い頃は、日本人のスポーツ選手が世界レベルで戦って勝てるなんてこと、正直、想像もしていなかったじゃないですか。

鈴木
そうですね。それこそ大谷君のように、全米が注目するような日本人選手が現れるなんて、考えたこともありませんでした。
安田
世界で活躍する若者世代が増えた理由の1つとして、「ゆとり教育の賜物だ」と言う人もいるそうですけど。

鈴木
ゆとり教育が始まったのは40年くらい前でしたっけ。そうすると先ほどの選手たちはみんな、ゆとり教育を受けてきた世代になるわけですか。
安田
そうなんです。ゆとり教育で、自由にのびのびやらせていたのが、結果としてよかったんじゃないかという見解みたいですよ。

鈴木
なるほどねえ。ゆとり教育というと、学力低下の原因という悪いイメージもありましたが、実はこういった良い面もあったわけですか。
安田
そのようですね。というか私たちが子どもの頃って、「体格の良い外国の方々には絶対勝てない」という先入観が心のどこかにあったと思うんです。

鈴木
ああ、わかります。こう言ってはなんですが「外国人=ちょっと怖い」っていう気持ちが全くないと言ったら嘘になるというか……(笑)。
安田
笑。でも今の若い子たちって、全然物怖じしていない気がしませんか?

鈴木
ああ、確かにそうかもしれませんね。生まれた時からネットで世界と繋がっていますし、街で外国人を見かけることも珍しくないし。外国人に対して、僕たちよりもずっとフラットに接することができるのかも。
安田
そうなんですよ。だからこそ、たとえばスポーツ選手なんかも、最初から「世界」に照準を合わせて活動しているというか。

鈴木
スポーツ界に限らず、今は誰でもすぐに世界と繋がることができますからね。そういうインフラが当たり前に整った環境だから、「世界=遠いもの」という感覚がないんでしょうね。
安田
そう考えると、自分のメディアを持つことも、自分で商売をすることも、昔と比べてかなりハードルが下がりましたよね。ネットで自社サイトを作っておけば、オフィスを借りなくても情報発信して商売できちゃうわけですから。

鈴木
仰る通りだと思います。お客さんとダイレクトに繋がれるようになったというのは、大きな環境の変化ですね。
安田
ただ、いくら「世界」が身近な存在になったとは言え、わざわざ世界に出ていく必要もないと思うんですよ。実力があれば、国内でゆるく長く活動できるんじゃないのかなって。

鈴木
大谷君や松山君も、あえて厳しい環境の海外で頑張らずとも、日本でそこそこ頑張っていれば大金稼げるでしょ、ってことですか(笑)。
安田
ええ、私はそう思ってしまいます(笑)。でも彼らはどんどん世界に出ていく。発想が根本的に違うんでしょうね、私と彼らとでは。

鈴木
私も安田さんの気持ちはよくわかりますよ(笑)。
安田
ありがとうございます(笑)。スポーツ界に限らず、今後はあらゆるビジネスシーンで、最初から「世界に向けて打って出る」という人が増えてくるんですかね。鈴木さんはどう思われます?

鈴木
それでいうと、ちょうど思い出した話があります。安田さん、YOASOBIっていう音楽ユニットをご存知ですか? 今、彼らの「アイドル」という曲が世界中でものすごくヒットしてるんですよ。
安田
初めて聞きました。日本人なんですよね? 世界で売れているということは、英語で歌っているということですか?

鈴木
それが、世界に出るために、日本語版も英語版も歌っているんですって。日本語歌詞の動画のほうが再生回数は多いらしいんですが、英語版があることで、海外の人たちにも歌詞の意味がちゃんと伝わって、結果、さらにヒットしたみたいです。
安田
へえ、それはすごいですね。一昔前までは、海外デビューなんて海外在住のアーティストでないと難しかったですよね? それこそ宇多田ヒカルさんみたいに。日本にいながらにして世界で流行る時代になったんですね。

鈴木
本当ですね。
安田
かつては世界進出を阻むものとして「言語の壁」も大きかったと思いますが、今は簡単に翻訳してくれるソフトや、ChatGPTに代表されるようなAIもどんどん進化していますからね。

鈴木
会社のホームページも一瞬で多言語に翻訳してくれますよね。
安田
そうなんですよ。だから自分が意図していなくても、突然世界でバズるという可能性もある。

鈴木
それこそ、日本では全然売れていないのに、いきなり世界中で売れ始めるということも起こるかもしれないですね。
安田
実は私、日本の教育を受けている子どもたちの中からは、ザッカーバーグみたいな人は絶対に現れないと思っていたんですよ。現に、日本からはGAFAのようなIT企業は出てくるわけがないと言われているじゃないですか。

鈴木
思っていた、ということは、気持ちが変わったんですか?(笑)
安田
はい(笑)。日本の若者たちが世界で活躍している今の状況を見ていると、世界を変えるような素晴らしい人材が、日本からどんどん出てきそうな気がしてきました!

鈴木
同感です。僕らが心配しなくても、ちゃんと勝手に出てくるんだと思います。人間は環境に適応してどんどん変化していきますからね。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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