石塚さん、最近やたらと地方マーケットを勧めてますよね？「地方にマーケットが移っていく」という考えですか。

まず会社でいうと地方には必ず優良企業があります。つまり各カテゴリーのトップ企業ですよね。

ありますね。財務体質も完璧な超優良企業。

そういう会社って、基本悩みがなさそうに見えるわけですよ。

なさそうに見えます。資金も潤沢ですし。

お金はある。地元での知名度もある。だから新卒も採れる。業績も悪くない。しかし、こういう会社の経営者にはアキレス腱がいくつかあって。

どんなアキレス腱ですか？

そのひとつが関連比率です。

関連比率？

つまり、本業以外の売り上げがあまりにも少ない一本足打法。何らかの事情で本業にヒビが入ると、その会社は終わってしまうってことなんですよ。

そこに危機感を持ってると。

もってます。ただ、そこに対しては自社の人材じゃ無理なんですよ。社内人材、地元リソースじゃ絶対に無理。

じゃあ、どこからもって来るんですか？

東京の優秀な超一流リソースを使う。

東京から来てもらうってことですか？

安田さんは行かないでしょ。

行きませんね。私の場合は東京まで来ていただいてます。でも多くの経営者さんはそこまでやらないですよ。地方の優良企業さんは尚更じゃないですか。

そうなんです。東京の超一流人材は来てくれない。だから「出て行かないといけない」状態でした。けどそこが変わりつつあるってことですね。

リモートということですか？

そうです。打合せは「膝と膝を突き合わせて」って考えが主流でしたけど、コロナで劇的に変わってしまった。「はじめまして」がオンラインでも「こういう時代だからしょうがないよ」って。

確かにそうですね。私もオンラインでの相談がすごく増えました。

100％じゃないにしても、仮に半分や3分の2がオンラインだとしたら、両者にとってメリットは大きいじゃないですか。

そうですね。

地方の優良企業は既に触手を伸ばし始めてますよ。東京の人材に。

へえ〜。まだそこまでの実感はないですけど。

まだ外注ぐらいに止まってるんですよ。たとえばデザインやクリエイティブの外注をオンラインで東京に依頼するとか。

なるほど。

だけどコアな事業課題をオンラインで依頼するまでは至ってない。そういう紹介サイトがまだないから。

東京で既に稼いでる人は、そういうサイトには登録しませんよ。

そうなんですよ。だから見付けにくい。そこを人的な紹介やリファラルで繋いでいく。

そこに新たな地方マーケットが誕生すると。

おっしゃる通りです。

都内限定でやってた優秀な人を、地方の会社でも使えるようにしてあげるサービス。

その通り。

実際に増えてるんですか。地方からの相談とか。

相談や問い合わせは増えてます。

でも東京の一流クリエイターさんって、固定のクライアントがいて、あえて営業もしないし。出会う機会は少ないですよ。

だからチャンスなんですよ。オンラインで仕事が完結できれば双方にメリットがあるじゃないですか。

まあ確かにそうですね。

問題はそういう人たちって玉石混交なので。どうやって本物を見分けるかです。

そこが、いちばん重要だと思います。

はい。だからリファラルなんですよ。

そのリファラルを誰がやるのかって話ですよね？

まず、地方の優良企業にいちばん影響力があるのって、やっぱり銀行だと思う。だから銀行が仲介をする。

企業とのパイプはありそうですよね。一流人材の方はどうするんですか？

なのでここに新たなビジネスを作るわけです。

どうやって？

トップレベルの人材って横の繋がりが強いじゃないですか。

そうですね。案件で繋がってますから。

ひとりの人からどんどんリファラルで広げていく。で、地方銀行がそういう人たちをオンラインで紹介する。

オンラインでマッチングしますかね。

オンラインだからマッチングするんですよ。だって地方まで行かないないでしょ。そういう人たちは。

行かないですね。

「あなたの経営課題を解決する人を紹介します」って銀行が繋げば、今なら普及していく可能性が高い。

一度使ってみれば実感するでしょうね。トップレベルの人ってギアが一段違いますから。まったく違う結果が出ると思います。

しかも、うまい人ほど早いでしょ。

それは間違いないです。料理と同じで上手い人ほど仕事も早いです。

だから短期間でプロジェクトが終わるわけですよ。単価はもちろん高いけど、下手な人と長く契約するよりずっとお得じゃないですか。

でしょうね。でもそうなると、これまで地方で稼いできた人たちは困りますよ。仕事がなくなっちゃう。

地方のカテゴリートップ企業って、思ってるよりガード固いんですよ。外部コンサルよりもむしろ身内で固めてしまう。

もともと外部の人を使ってないってことですか？

はい。外部リソースの活用なんて聞いたことがないです。だから新しい事業が育たない。

コンサルに騙されてる会社も駄目だけど、ガードが固すぎて身内で固めまくってる会社も駄目だと。

そうです。関連比率が低い会社は早く手打たないと、あっという間に終わってしまう。

なるほど。

せっかく資金が潤沢で知名度もあるのに、そういう動きをまったくやってない。

課題だと思っていないんじゃないですか。

重要だけど緊急じゃないと思ってるんですよ。だからこそ外部の一流人材と組むべきなんです。

確かにそういう人材って課題の発見からやりますからね。

はい。

もしそうなったとき、騙されないために一流人材を見抜く方法ってありますか。

まず長期契約を最初から言う人は駄目。あと月間いくらというサブスクを最初から言う人も駄目。まずショットで試してみてください。それで価値観が合えば考えましょう、ぐらいの人が信頼は高い。

なるほど。

あとはメディアや書籍での露出に騙されないこと。本を出してるから仕事ができるとは限らないです。

グサッときますね。胸が痛いです（笑）