雇わない経営の本質

スモールビジネスに舵を切るなら
雇わない経営は必須である。
何十年も先の未来予測として
言っているわけではない。
今すぐ、喫緊の課題として、
取り組まねばならないのである。

優秀な人材を出来るだけ安い固定費で雇う。
雇った社員にできるだけ多くのことをやらせる。
外注費が減ってそのぶん利益が増える。
いまでもこの理屈が成り立つと思っている経営者は多い。
だがその時代はとっくに終わっている。

採用コスト、社会保険費、
時間外手当はどんどん増えていく。
社員のやる気、定着率、
ロイヤリティはどんどん下がっていく。
現実を見てほしい。

固定費が増え続ける割に
利益は増えていないはずだ。
20人で1000万だった利益が
25人で1100万だとしたら、
ひとり当たりの利益は減っているのである。

円安、人口減少、不景気で、
日本全体の生産性が下がっている。
だから自社の生産性が下がるのも当然だ。
そう思っているのだろうか。
それは「会社の業績が悪いから自分の給料が低い」と
嘆いている社員と同じ思考である。

順番が逆だ。
自社のような収益率の低い会社が増えているから、
日本全体の生産性が低いのである。
生産性を高めるためには自ら手を打つしかない。
雇わない経営は避けては通れない一手なのである。

まず自社の収益構造を分解し整理する。
その中で時間と成果が比例する
仕事だけを正社員に任せる。
すごい人材がいなくても、
教えた通りの手順を守ってくれれば、
確実に利益が出る仕事。
こういう仕事こそ正社員向きなのだ。

適性を見極め、確実に手順を
こなしてくれる人材を採用し、
それ以外の余計な仕事を決してやらせないこと。
社員に余計な仕事を依頼した分だけ
会社の赤字は増えていく。
この事実を自覚した方がいい。

「時間が利益に直結する仕事などない」ということ
なら、そのビジネスモデルは成り立っていない。
そこから考え直すべきだろう。
そして社員に任せる仕事が明確になったら、
それ以外の仕事は出来る限り業務委託に外注する。
つまり雇わない経営に切り替えるのである。

時間ではなくかけた費用に成果が見合うかどうか。
業務委託はここで判断する。
コツは高単価×短納期だ。
安い業務委託は納期が伸びてかえって高くつく。
スキルの高い人材は納期も早い。
結果的にコストは削減される。

とにかく余計な人材を雇わないこと。
質の高い外部人材とどんどん繋がること。
これがスモールビジネスの鉄則なのである。

 

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