値上げの本質

値上げをするには新規顧客が必須である。
新規顧客が増えていけば
既存の顧客に値上げを要求しやすい。
高単価の新規顧客を獲得すれば、
そもそも値上げする必要もない。

つまり単価アップは新規顧客の
獲得力にかかっているのである。
もちろん安売りによる新規開拓は愚の骨頂である。
そんなことをしても低単価の顧客が増えていくだけ。
本末転倒も甚だしい。

今より高い価格で新規の顧客を獲得する。
基本的に全ての企業はこの課題に取り組まねばならない。
しかし残念ながらここに真剣に取り組んでいる中小企業は
少ない。既存の顧客を相手に儲からないと嘆いているだけ。

世の中には人も企業も溢れているのだ。
今の顧客が儲からないのであれば儲かる相手と
取引すればいい。ただそれだけのことである。
なぜ儲かりもしない顧客と我慢して
付き合い続けるのか、私には理解できない。

単価の高い新規顧客を開拓したいのなら、
やるべきことはただひとつ。
新しい商品をつくるのである。
そもそも多くの経営者は商品開発というものを
誤解している。商品開発とはスマホや
電気自動車を発明することではない。

今ある商品を新たな顧客に向けて作り変える。
ただそれだけのことである。
いま顧客でない人はなぜその商品を買わないのか。
理由はふたつしかない。知らないか必要ないかである。

知らないのなら告知を強化すればいい。
しかし多くの場合それだけで新規顧客は開拓できない。
必要ないと考えられているから売れないのである。
やるべきことはシンプルだ。まずターゲットを絞り込む。
そしてターゲットがこの商品を必要とする理由を考える。

詰まるところ商品開発とは「今ある商品の
新たな使い方」を発見することである。
普段着か結婚式の衣装かで衣服の使用目的は変わる。
デートなのかカロリー摂取なのかで食事をする目的は変わる。
使い方が変われば商品の価値が変わる。だから価格も変わる。

重要なのは今の顧客の延長線上で商品価値を考えないこと。
日本人が見向きもしない商品に観光客が喜んで大金を
支払うのは、商品の見え方・使い方が違うからである。

重要なことなのでもう一度申し上げたい。
新規開拓とは違う使い方をしてくれる人を
顧客にすることである。そしてその第一歩は
新たな商品の使い方を考えることである。
新たな商品説明、新たな価格設定、
新たな商品サイトをどんどん作っていく。
それが値上げという作業の本質なのである。

 

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