第381回 休職は制度とプロで乗り越える

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第381回「休職は制度とプロで乗り越える」


安田

退職代行ではなく休職代行というサービスがあるみたいです。

久野

はい、知ってます。ただこれはちょっと問題があるかなと思っていて。

安田

問題ありですか?「休職手続きが面倒だ」という人が使うみたいですけど。例えば有給休暇を取るとか、メンタル不調で休みたいとか。

久野

はい。基本的にはそういう作業を代行するサービスですね。

安田

休職と合わせて傷病手当の申請とかもサポートしてくれるみたいです。やはり弁護士さん案件ということでしょうか。

久野

そうですね。退職代行より休職代行の方がより法律行為に近い気がします。まだ在職もしているし。

安田

確かに。今いる社員へのサービスですもんね。

久野

そもそも誰かが休むってことは、代わりの人にやってもらうことを細かく指示しなきゃいけない訳ですよ。

安田

そうですね。

久野

それを代理人に丸投げするって相当無理があると思います。

安田

休職すること自体は問題ないってことですか?

久野

休職に関しては制度があるので。そんなに難しいことではないです。

安田

手続きが大変とか、言いづらい雰囲気とか、色々あるみたいですよ。特に休みたい理由が「心身の不調、人間関係、自信喪失」みたいな場合。

久野

気持ちはわかります。けど雇用契約を結んでいる従業員でもあるので。

安田

心身不調で自信喪失している人が手続きをするって大変ですよ。言われた上司の側も大変でしょうし。

久野

もし退職というゴールが見えているなら弁護士が代行するのはアリだと思います。だけど復職するつもりならそこはやらないと。どれだけの期間にどんなことを代行すればいいのか、細かい意思決定必も要ですし。

安田

期間によって引き継ぎのやり方も変わりますしね。

久野

そう。覚え書きも取りかわさなきゃいけないし。法律行為としてはかなり細かいです。

安田

弁護士以外には出来ない仕事だと。

久野

本来はやっちゃいけないと思います。退職代行とは全然レベルが違う交渉事なので。

安田

確かに戻ってくる前提ならちゃんと引き継ぎや打ち合わせはやって欲しいですね。

久野

はい。大変なのは分かるんですけど、復帰する前提であればやらなくちゃいけない。

安田

おっしゃる通りですね。

久野

おそらくこのサービスも辞める前提だと思うんですよ。

安田

辞めることが決まっているのに休むんですか?

久野

傷病手当をもらうためとか。だから問題なんですよ。広告も結構ひどいのが多いです。退職の前にこれだけの手続きをしておけば「傷病手当金までもらえますよ」みたいな。

安田

なんと。

久野

勝手に退職給付金という名前をつけたりして。ごねると失業手当が多くもらえたりするので「ごねましょう」とか。僕らもいろいろ苦労します。

安田

これ企業側の対策としてはどうしたらいいんですか?

久野

会社側がやるべきは適切な労務管理と証拠をちゃんと出せるようにしておくことですね。

安田

証拠ですか?

久野

証拠が無ければ「会社からパワハラがあった」とかいろんなこと言われるケースもあるので。長時間労働でこういう心身疲労があったとか。

安田

なるほど。

久野

そもそも休職って社員の権利なんですよ。就業規則にも書いてありますし、休んで回復させることが会社の利益とも一致するので。

安田

休んでいる間の給料ってどうなるんですか?

久野

会社は給料を払わなくていいんです。傷病手当金を使ってもらう形ですね。給与の60%が健康保険から支給されます。いわゆる3分の2ってやつです。

安田

なるほど。会社としては病みながら来るより、休んでもらって給料が止まる方がいいってことですね。

久野

そこは損得よりも「ちゃんと休んで回復させてほしい」っていう会社の願いじゃないですか。

安田

確かに。でも休んで回復した人ってあまり記憶にないんですけど。

久野

早く休み始めれば結果は変わると思います。あとは2ヶ月、3ヶ月しっかり休ませること。

安田

悪くなる前に早く休ませることが大事なんですね。

久野

大事です。精神疾患に関しては翌日から休職に入る就業規則の会社が多いです。

安田

じゃあ復帰するつもりなら、こんな代行を使うよりちゃんと上司に相談した方がいいですね。

久野

本人から相談されないと上司から休めとも言いづらいので。

安田

下手するとハラスメントとか言われたりして。

久野

いちばん良いのは専門の産業医の先生に面談してもらって、その先生から言ってもらうことですね。

安田

確かに。専門医が言うんだったら本人も納得しやすいです。

久野

はい。ちゃんと仕組み化しないと「休め」とは言いづらい時代になってます。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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