第99回 便利さも景観も叶える、駐車場リフォーム

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第99回 便利さも景観も叶える、駐車場リフォーム

安田

以前のお話では、外構のリフォーム案件も多いと仰ってましたよね。「家族が増えたから車をもう一台置けるようにしたい」とか。


中島

そうですね。駐車場を増やすリフォームに関しては、時代背景の変化もあります。30〜40年前の団地は「車1台」が基本設計だったんです。でも今は家族一人ひとりが車を持つ時代じゃないですか。

安田

ああ、「一家に一台」から「一人に一台」になったわけですね。ともあれ、単純に駐車場を増やすだけなら外構の専門業者さんでもできますよね。あえて中島さんに頼むということは、ガーメントデザイナーとしての視点を期待されているわけですか。


中島

そういうことだと思いますね。実際「ただ駐車場を増やしたい」ではなく、「駐車場を増やしつつ庭もキレイに残したい」というようなご要望が多いので。

安田

なるほどなぁ。でも実際それってどうやるんです? 駐車場をある意味無理やり増やすわけで、どうしてもバランスが崩れちゃう気がするんですが。


中島

もちろんケースバイケースですが、手入れが行き届かなくなった木や、魅力を活かしきれていない木を抜いて調整することが多いですね。あとは逆に窓から見える位置に木を1本植えて、車が目立ちすぎないようにすることもあります。

安田

ふむふむ。木をアレンジすることで調整するんですね。


中島

そういうことが多いですね。もちろん思い入れのある木などがあれば、その木を中心にバランスを再構築したりもします。

安田

なるほどなぁ。そういえば私の実家の駐車場がすごく不自然な作りになっていたのを思い出しました(笑)。すごく停めにくいし見た目も悪くて。裏口を作ればあれこれ解決するんですけど、祖父母は「玄関は1つにしたい」と聞かなくて。


中島

ああ、確かにそういう話をお聞きすることもあります。昔の時代の「常識」が今の不便に繋がってしまっているという。

安田

まさにそうなんです。その裏口の件も、物理的に作れなかったわけじゃなく、「入口が二つあると縁起が悪い」という理由でしたから(笑)。


中島

なるほど(笑)。もっとも、「安全面から出口は1ヶ所にしておいた方がいい」という考え方もあったようですよ。例えば火事になった時に子どもがどっちから逃げるかわからなかったら、助けられなくなるかもしれないとか。

安田

ふ〜む、なるほど。まぁでも、やっぱり個人的には裏口を作ってほしかったなぁ(笑)。ところで駐車場の拡張だけやるのと、庭も含めてリフォームするのとで、どれくらい費用が違うんですか?


中島

駐車場単体で100万〜200万円、そこに庭の分がプラス100万円程度ですかね。

安田

ということは、300万円くらいかければ、単に駐車場を増やすだけじゃなくて素敵な庭まで手に入るということですね。だったら駐車場だけにお金をかけるのはもったいない気がするなぁ。


中島

もちろん何を優先するかはお客様次第ですが、お庭も含めてリフォームすると印象はかなり変わると思います。全体の設計ができる分、使い勝手もかなりよくなりますし。

安田

そうですよね。せっかく中島さんにお願いするなら、いろいろ欲張っちゃってもいい気がします。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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