第108回 ヤクルト好きだからこそ、物申したい

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第108回 ヤクルト好きだからこそ、物申したい

安田

中辻さんの初めてのお仕事がヤクルトレディだったということは、この対談の始めの頃にお聞きしましたね。それでふと思ったんですが、もしこの対談をヤクルト本社の役員が見たら、中辻さんのことを経営陣に加えたいって思うんじゃないかと。


中辻

え〜?! そんな大それたこと…(笑)。

安田

でももし本当にそうなったら、中辻さんはどんなことやるのかすごく興味があるんですけれど(笑)。


中辻

じゃあ今日は架空話としてお話しますね(笑)。というか、実は我が家にもヤクルトレディの方に来ていただいているんですよ。私、今も昔もヤクルトが大好きなんで。

安田

へぇ、そうだったんですね。それは毎週持ってきてくれるんですか?


中辻

そうなんです。とは言っても、私も不在がちなので、玄関先に置いてあるヤクルト専用のボックスに入れていってもらっているんですけど。あ、それでいうとちょっと改善してもらいたいなってことがありまして。

安田

ほう。それはどんな?


中辻

決済方法をもうちょっと柔軟にしてほしいなと。今って「ヤクルト届けてネット」という制度を使うとクレジットカード決済で買えるんですけど、対象になるのは事前に登録しておいた商品だけなんですよ。

安田

へぇ。じゃあ追加で別商品を1パック欲しい、なんてことには対応してくれない?


中辻

そうなんです。追加した分の料金は、なんとヤクルトレディさんが直接集金にくるんです。

安田

え、わざわざ現金の集金にくるんですか?


中辻

そうなんですよ! 例えば今週だけヨーグルトが欲しいなと思っても、「追加したらヤクルトレディさんと予定を合わせてお金を渡さなきゃいけないのか…」と思うと、それは面倒だからやめておこうとなっちゃう。

安田

そうか、せっかく追加の売上が立つかもしれないチャンスを、みすみす逃してしまっているわけですね(笑)。


中辻

そうそう(笑)。毎週の定期便でクレジットカード決済ができるのに、なぜ追加分もクレジットカード決済できないのか。そういうイレギュラーなことにもある程度対応できるようになれば、もっと売上も伸びるだろうにとは思いますね。

安田

なるほどなるほど。じゃあもし中辻さんが経営陣に加わった暁には、まず決済機能を変えていくというわけですね(笑)。他にもあります?


中辻

あとは…宅配ボックスのリニューアルもしたいかもしれない。

安田

ほう。あんまりイケてないんですか?(笑)


中辻

イケてないですね〜(笑)。デザインとかの話じゃなく、鍵がないのでまず防犯性が低いんですよ。しかも保冷機能もあんまりよくないから、ヤクルトレディさんが商品と一緒に袋詰の氷を入れておいてくれるんですけど、私が帰宅するころには氷が溶けて商品もボックスの中もビチャビチャになっていて…。

安田
あぁ、それは嫌ですね。ぜひ改善してほしいです。…いや、やっぱり中辻さんが経営陣に入っていろいろ改革したら、売上が倍くらいになりそうですね。
中辻

いやいや、そんな…(笑)。まぁでも、昔から好きで利用しているからこそわかるんですが、正直商品のブランディングやマーケティングはあまり上手じゃないなと(笑)。

安田
え、そうなんですか。ヤクルトほどの大企業が、販促下手だと?
中辻

だって安田さん、ヤクルトがラーメンとか焼きそばを売っているの、ご存知ですか?

安田
ヤクルトがラーメン?! そんなの聞いたこともないですよ。
中辻

ですよね?(笑) もうね、めっちゃ美味しいラーメンがあるんですよ。普通のラーメンとは違って、いろんな栄養成分が入っていて、麺がちょっと緑色で。ただね、その名前が「ヤクルト麵許皆伝」

安田
それは…イマイチなネーミングですね(笑)。
中辻

そうなんです(笑)。めちゃくちゃ美味しいのに、全然知られていないのがすごく残念で。

安田
そのラーメンの存在は、ヤクルトレディさんたちも知っているんですか?
中辻

もちろん知ってますよ。ただ、ヤクルトの報酬システムって、「ヤクルト400」とか「ヤクルト1000」のような、いわゆる乳酸菌飲料が一番マージンが高く設定されているんです。

安田
ほう。つまりヤクルトレディさんからすれば、乳酸菌飲料を売った方が儲かるということですね。
中辻

そうなんです。でもお客さんの中にはラーメンも買いたいという人もいるはずじゃないですか。それなのにヤクルトレディの報酬形態のせいで、乳酸菌飲料ばかり売っている現状があるわけです。

安田
ラーメンを売ってもたいしたマージンにならないなら、そりゃ皆ヤクルトを売りますよね。
中辻

ええ。もちろんヤクルト自体もすごくいい商品だからいっぱい売れてほしいんですが、クロスセルでラーメン等もオススメすればいいのにな、と。

安田
確かに確かに。ちなみにラーメン用の販促物とかもないんですか?
中辻

ペラペラのチラシが1つあるくらい(笑)。ちゃんと作り込んだチラシなら効果も全然違うだろうになと。…私が経営者だったら、まずそこからテコ入れしていくと思います(笑)。

安田
なるほど。いやぁ〜素晴らしいヤクルト愛ですよ! この対談を見て本当にヤクルトから連絡が来るかもしれないですよ? どうしますか、年収5000万円でウチに来てくれって言われたら(笑)。
中辻

そうだなぁ〜、ヤクルト製品は大好きなんで、「バイトくらいの値段でいいのでブランディングのお手伝いをさせていただきます」って言うかもしれないですね(笑)。

安田
なるほど(笑)。関係者の方、ぜひ中辻さんにご連絡をお待ちしております(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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