第11回 社員の満足度が、いい会社への「カギ」

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第11回 社員の満足度が、いい会社への「カギ」

安田

今日は「雇う側」として社員さんのプライベートまでどの程度まで立ち入っているのか、についてお聞きしようかな、と。


中辻

社員の個人的な事情などについてですか?

安田

そう。急なお休みの理由とか、時間の制約とか、各社員さんのいろんな事情に対して、中辻さんはどこまで知ろうとしています?


中辻

お休みの情報はもちろん共有しますけど、それ以上の深い事情は、向こうから言ってこない限りこちらからは聞かないですね。

安田

そうなんですか?経営者と社員という枠を超えて仲良くやっているからこそ、みんなが頑張ってくれるのかと思っていました。


中辻

そんなことはないです。ウチって、やるべきことを時間内にやってくれるなら、他はなにやっていてもいいんです。

安田

仕事さえしっかりやってくれれば、それでいい?


中辻

はい。もちろん仕事中は和気あいあいとやっていますけど、別にプライベートですごく深く交流しているってことはないです(笑)。

安田

たとえば会社のスタッフは全員家族だ!みたいな、いわゆるファミリー型企業ってありますよね。そういう企業って、中辻さんはどう思います?


中辻

もちろん深い話を相談してきてくれる社員もいますし、それに対してはしっかり聞いてアドバイスもしますけど。深く話しすぎて仕事に忖度が出るのも、少し違うような気がしていて。

安田

じゃあ社員旅行とか、仕事終わりにみんなで飲みに行くとか、どう思います?ファミリー型企業って、そういうイベントが多いと思うんですけど。


中辻

行こうって言えば行くとは思いますけど、特にないですね(笑)。あ、みんなでご飯を食べるときは家族参加OKにしています。ご家族の方にも会社のことを知ってもらいたいので。でもそれ以上は…。

安田

そこはあえて、ある程度の距離を保つようにしている感じですか?


中辻

一定の距離感は大事だと思いますね。というかそもそも私コミュ障なんで(笑)。仕事のオン・オフも激しいから、帰宅したら仕事のことは忘れるようにしています。

安田

そうなんですか、意外ですね(笑)。


中辻

仲が良い・悪いということだけではなくて、利害関係が一致しているからこそ、社員全員で同じ方向を向ける、というのは絶対あると思いますね。

安田

なるほど。ちなみに女性だけの環境だからこそ成り立っている関係性というのもあるんですか?中辻さん、男性を雇用しようとは思っていないでしょ?


中辻

そうですね、思ってないです(笑)。

安田

でも男性が1人でもいれば、力仕事が楽になるとかメリットもあると思うんです。男性が入ることにデメリットを感じているんですか?


中辻

大いに感じてますね。というか、「男性を採用しない」というより、「女性を採用したい」んですけどね。

安田

ああ、なるほど。採用の枠があるならば、女性と仕事がしたいってことですか。


中辻

そうですね。あとは実際男性が入ると、会社の雰囲気も変わると思いますし。そもそも今のこの女性だらけの空間に男性は入りづらいと思います(笑)。

安田

なるほど(笑)。それでは、なんとかうまく女性を活用したいと考える社長さんに、アドバイスとかヒントをいただけませんか?


中辻

会社づくりの際は、社会に出るにあたっていろんな制約がある人の立場に立って考えてあげてください、ということかな。

安田

子どもの都合に合わせて時短勤務とか時差出社ができる会社も多いんですよ。でもそういう「制度」として作っているだけで、事情がある人に「なんとか心地よく働いて欲しい」って本気で思っていない。そういうのは伝わっちゃいますよね。


中辻

ええ。たとえばウチは有給消化率100%ですが、会社によってはこういう制度も使うのに気が引ける、という場合もありますよね。

安田

ああ、確かにそうですね。


中辻

私は、いい仕事をしてもらいたければ、社員さんの満足度を上げるのが一番手っ取り早いと思っていて。

安田

それは間違いないですよ。結局ね、給料を高く払っていい人を採用しようとしても、その給料以上に頑張ってもらった分だけが、会社の利益になるわけですよ。


中辻

そうですね。

安田

でも働く側からしたら「なんで給料以上に働かなきゃいけないんだ」ってみんな思ってるんですよ。


中辻

ウチも年齢に対する平均年収以上はあげるつもりで給料を決めています。さらに「制約」になっている部分をクリアにしてあげることで、会社としての付加価値が一気に上がるんです。

安田

なるほどねえ。中辻さん、女性マネジメントコンサルとかやってほしいなあ(笑)。


中辻

そんな、コンサルだなんて…(笑)。私が感じていた窮屈さのようなものを感じず、有意義に楽しく働いて欲しい、ただそれだけです。

安田

素晴らしいですね。


中辻

そうやって働いてくださることで、ひいては会社の利益に繋がるんであれば、一石二鳥だな、と。

安田

私もいろいろと経験がありますが、仕事の中で「いい人を採用する」というのが一番難しいですよね。


中辻

はい。自分の仲間を作るというのが、会社経営では何よりも難しいです。でも逆にそこがうまくいけば、極論、なにをやってもうまくいくと思っています。

安田

今、中辻さんの会社がうまくいっているのも、会社のことを考えて、同じ方向を向いて頑張ってくれる仲間がいるからなんですね。


中辻

そうやって助けてくれる人たちが、いい会社にしたいと思ってくれているからこそ、うまくいっているんだと思います。

安田

さすがですね。中辻さんのそういう気持ちが、MAMENOKI COMPANYをさらに躍進させていくんだということがわかった気がします。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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