「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第124回 業務委託をうまく活用する方法

私、『雇わない株式会社』という会社をやっているんですが、今の時代には「雇用」だけでなく「業務委託」を使って組織を作る方が合っていると思っていまして。中辻さんの会社でも、ポスティングスタッフさんは業務委託ですよね?

そうですね。仕事量にどうしても波があるので、ポスティングスタッフを正社員で雇うことは難しいです。

でも「雇用」と「業務委託」って、実は境目が曖昧というか、切り分けが難しいと思いません? 雇用と違って業務委託には「指示管理」ができないわけじゃないですか。でも実際にまったく指示管理しないで働いてもらうのってなかなか難しいというか。

ウチで働いてくださっているスタッフさんの7割くらいが、ポスティング歴の長い方たちなので、意外と問題ないですね。自分で1から10までスケジュールを組み立てて、自分のキャパに見合ったお仕事量しか受けないという感じなので。

そういうことです。逆に天候不良なんかで配布が予定通りいかなさそうな時には、スタッフさんの方から相談してきてくれる。だから私たちの仕事は、そういう時にお客様と調整するくらいで、基本はポスティングスタッフさんが気持ちよくお仕事ができるようにお手伝いしているというイメージです。

私もそう思います。ポスティングスタッフに限らずフリーランスの方は皆そうだと思うんですけど、クライアントの言いなりになってしまうと、それは雇用と同じになってしまうし、仕事のクオリティも下がっちゃうと思うんですよね。

スムーズに仕事ができるように、スケジュールの立て方などを丁寧に教えるようにしています。気持ちよくお仕事をして、「できた!」という達成感を味わってもらうことで、ポスティングという仕事にやりがいを感じられるような仕組みを作っているというか。

理想はそうですね。ただポスティングってしんどい仕事でもあるので。好きな時間に好きなペースで働けて、そこそこの収入が得られると思っている人は、比較的すぐに辞めてしまう傾向はあります。とは言え、今のベテランスタッフさんたちが一生働き続けてくれるわけではないので、新しい人材もどんどん育てていかないといけないんですけどね。

確かに。ともあれやっぱり中辻さんは業務委託の使い方が非常に上手ですね。「経費を抑えるため」とか「無駄な出費をしないため」という理由で業務委託を取り入れた会社は、だいたいどこかで揉めて失敗してますから。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。