第128回 休職中のスタッフを待ち続けるのは「絆」があるから

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第128回 休職中のスタッフを待ち続けるのは「絆」があるから

安田

聞くところによると、今、『マメノキカンパニー』さんの経理の方が休職されていて、その業務も全部中辻さんがやられているらしいですね。中辻さんも経営でお忙しいと思うんですけど、新しい人を雇わないのには何か理由があるんでしょうか。


中辻

それはシンプルに、彼女が戻ってきてくれるのを待っているからです。というのも、マメノキカンパニーって私とデザイナーと経理の3人で始めたようなもので。だから私は彼女のことを一番信頼しているんです。

安田

ほう。そうだったんですね。なかなか替わりはいないと。


中辻

そうそう。しかも経理のポジションって、会社の何千万・何億というお金を動かすことができるじゃないですか。そこを安心して任せられるだけの人材って、そう簡単に見つからないですよ。

安田

確かに。求人に応募してきた人に、いきなり会社の通帳を渡せないですもんね(笑)。


中辻

ですよね(笑)。あとはなにより、新しいスタッフを採用してしまうことで、休んでいる彼女の戻って来る場所がなくなってしまうことが一番嫌なんです。だから新しい人を雇うことは全く考えていなくて。

安田

そこまで中辻さんに想ってもらえて、その方もきっと嬉しいでしょうね。ちなみに休職されてからどれくらい経つんですか?


中辻

1年半ほどですかね。といっても、ちょいちょい連絡は取っているんですけど。彼女自身も「戻ってきたい」という気持ちを持ってくれているんですが、経理という仕事の特性上、どうしても体調が万全ではないと難しいので。だから今は首を長〜くして(笑)彼女の復帰を待っています。

安田

いやぁ素晴らしいですね。それにしても、ベニエ屋さんの経営やECサイト立ち上げもやらなきゃいけないのに、マメノキカンパニーの経理・財務まで全部やるなんて、さすがの中辻さんでもなかなか大変なんじゃないですか?


中辻

…そうですね(笑)。入金確認、振り込み、税金支払い、給与計算、請求書発行などなど、全部自分でやっているので、大変といえば大変ですけど、意外となんとかなっています(笑)。

安田

ははぁ…やっぱりすごいですね。私も独立してからは経理の仕事は自分でやっているんですけど、ものすごく苦手で…。中辻さんはそんなことはないです?


中辻

確かに面倒やなぁと思うときはありますよ(笑)。でも初心を忘れないようにしなくちゃと思っていて。だって最初の頃は3万円の請求書を発行するだけでも嬉しかったんですよね。その時の気持ちを思い出してモチベーションを上げています。

安田

なるほどなるほど。ちなみにご自身で経理の仕事を引き受けるようになって、なにか気付いたことってあります?


中辻

会社のリアルなお金の流れが細かくわかるようになりました。社会保険料の高さなど、人を雇うことのコストも実感しますし。なんというか、経営者としてすごく勉強になることばかりですね。

安田

確かに帳簿を見ると、会社のすべてが赤裸々になりますもんね(笑)。


中辻

そうなんですよ(笑)。あとは売掛帳も自分で作っているんですけど、金額が全部バチッと合った時のあの瞬間が、めっちゃ気持ちいい(笑)。

安田

中辻さんはそもそも、経理の仕事も好きなんですね(笑)。とはいえ、休職中の方には絶大な信頼を寄せているからこそ、時間がかかってもいいから戻ってきてくれることを待っていると。


中辻

そうですね。経理のスタッフさんって私にとっては特別な存在なので、また一緒に仕事ができることを待ちながら、今は、毎月の経理業務も粛々とこなしていこうかなという所存でございます!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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