「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第73回 「誰かのためになる仕事」を続けていけば、お金は後からついてくる

なるほどなるほど。つまり中辻さんにとっては、仕事をすることで「人に感謝されること」や「必要とされること」が大事なんですね。ちなみにちょっと意地悪な質問ですが、既に娘さんとの生活に十分なお金を持っていたとして、中辻さんはそれでも仕事をしますか?

するでしょうね。というのも私は中卒…なんなら中学もろくに卒業していないような状態なんですけど、そんな人が「誰かに必要とされる」なんて状況はなかなかありえないよな、と思っていて。要は私、自己肯定感が低いんですよ。

仰るとおりです。「中辻さんに頼んだらすごく素敵なチラシができたよ」とか「中辻さんのアドバイスのおかげで売上がアップしたよ」とか言っていただけることで、私の「存在意義」や「存在価値」を感じさせてもらえるというか。

なるほどなぁ。とはいえ、「人の役に立てている感覚はないけど、とにかく報酬の高い仕事」を選ぶこともできたわけじゃないですか。1人で娘さんを抱えて生きていくためにはお金が必要だったわけで、むしろそっちを選んだ方が合理的なんじゃないかという。

どちらかというと、娘がいるからこそ勤務時間や通勤時間に制約があったんですよね。一般的に報酬の高い仕事って、割と時間を全振りしないと成り立たないものが多くないですか? 例えばマグロ漁船とか(笑)。

なるほどなるほど。そして中辻さんが幸せを感じられるのは、「誰かの役に立つこと」とか「人に喜ばれること」を実感できる仕事だったというわけですね。その結果としてお金も稼げるようになったら尚良しという。

うーん…そういう人たちって多分、損得勘定でしか動いていないと思うんですよね。だから会社とか仕事の愚痴ばっかり言う。要は楽して稼ぎたいんでしょうけど、そう思っている時点で先は見えているというか…。

そうそう(笑)。でもこうやって中辻さんのお話を聞いていても、「お客さんに喜ばれる仕事をするからこそ、お客さんが評価をしてくれて、収入が増えていく」というのがまっとうな順番だということがわかるんですけどね。

私も昔、印刷会社で働き出した頃って時給800円ほどの最低賃金でした。でも自分の仕事に興味を持って、お客さんのことや会社のことを考えていろいろやっていくうちに、気がついたら工場長になっていたんで(笑)。

そして今や、経営者ですもんね。いやぁ、素晴らしい。よく「立場が人を作る」って言いますけど、その立場を作るのは、中辻さんのような「相手のために仕事をする」という考え方なんだということがよくわかりました。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。