「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第83回 「理性の壁」を越えてもらうために必要なこと

なるほど。とはいえ、感情的に「行きたい」と思っても、情報を読んでいくと思ったよりお店が遠かったり、金額が高かったりするかもしれない。そういった「理性のハードル」を乗り越えさせるには、どんな仕掛けをされるんですか?

そういうことです。というのも、前提としてチラシ=新規顧客を獲得するための広告なんですね。つまり「新オープンのお店」が紹介されている場合がほとんどなわけです。そしてそういった「知らない遠くのお店」って、メディアで紹介されたような有名店でもない限り、チラシを見ただけで行こうという気は起きないんですよ。

安田さんのように自分から調べて動いてくれるような人は少数派なんです(笑)。ほとんどの人は、わざわざ遠い場所まで足を運んでくれないんですよ。つまり、チラシでは距離の壁を超えられない、というのが結論になります。

Instagramやホームページ、Googleの口コミといった「置き型広告」で、地道にファンを増やしていくしかないです。ちなみにウチではポスティングする時も、業種や業態に合わせてどの距離まで配布するか、全部細かく決めているんですよ。

仰るとおりです。例えば大阪市内とか東京の中心部にある飲食店だったら、チラシで販促する距離はお店から500mくらいの場所まで。都心部からちょっと離れて、車移動が当たり前というようなエリアになるともう少し距離が伸びますけど。それでも1km〜2kmくらいですね。

はい、そちらは越えられます。「価格」には「目玉商品=自分たちが一番売りたいもの」と「集客商品=みんなが気軽に買えるもの」がありまして。この両方の情報をチラシに盛り込むことで、集客につながってきます。

そうですそうです。極論、目玉商品は値段が高くてもいいんですよ。「ウチの店の最大の売りはこれなんです」と感情に訴えかけるための商品でもあるので。ただそうやって自分の売りたいものばかりを書いていても「理性」には訴えかけられなくて。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。