第37回 トゥモローゲートは上場を目指さないんですか?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第37回 トゥモローゲートは上場を目指さないんですか?

安田

西崎さんって株式公開とかは目指していないんですか? いわゆる上場というやつですけど。


西崎

ああ、今のところまったく考えていないですね。今の事業モデル的にあんまりメリットを感じないというか。

安田

ふーむ。つまり資金をたくさん手に入れてスケールさせる事業ではないと。


西崎

そうですね。あとはやっぱり自由にやりたいんですよね。上場するとやっぱり株主さんの意見を聞かないといけなくなるわけで。

安田

確かにいろいろ制約は出てきますよね。とはいえ私世代の感覚でいうと、やっぱり上場って一つの成功の証明というか、すごく強力なステータスなわけですよ。証券会社で鐘を鳴らすことがある種のゴールみたいな。


西崎

僕の周りにもそう言っている人はいますよ。実際、上場を目指して頑張っている経営者さんも知ってますし。

安田

周囲にはたくさんいる中で西崎さんは違うと。となると、世代的な感覚ではないってことですかね。


西崎

うーん、どうなんですかね。ちょっとわからないですけど、少なくとも僕自身はあまり興味がなくて。

安田

なるほどね。ちなみに私は、上場を目指す人の中にも2種類あると思っているんです。1つは何かしら目的を持って上場を目指す人。事業をスケールさせたいとか、資金を得て新しいビジネスに挑戦したいとか。


西崎

はいはい。

安田

もう1つは、特に明確な理由はないんだけど、とにかく上場させたいんだ、というタイプ。前者はまったく問題ないと思うんですけど、後者は私、どうなんだろうと思っていて。もうちょっと考えてやろうよっていう。


西崎

うーん、まぁ、他社のことをあれこれ言う立場にはないので(笑)。僕個人の感覚で言えば、もし「オモシロイ会社じゃなきゃ上場できません」ってルールになったら、俄然頑張るだろうなとは思います(笑)。

安田

なるほど(笑)。でも実際、上場っていろいろなメリットがあるわけですよ。資金調達もしやすくなるし、借り入れの個人保証も外れるし。それに何か新しい事業をやるとなったら、メディアがどんどん取り上げてくれるし。そういう旨味があっても、興味はわかないですか。


西崎

わかないですねぇ(笑)。

安田

そうですか(笑)。ここまでくると、意地でも西崎さんに「上場もいいな」と言わせたくなってきました(笑)。お金的にはどうですか。会社の利益でコツコツ報酬を増やすのとは桁が違うお金が入ってきますよ。何十億何百億みたいな。


西崎

すみません、そっちにも興味なくて(笑)。というか、経済的な意味では今でもう十分なんですよね。報酬が増えるのは嬉しいですけど、それが増えたことで得られる喜びとか幸せって、もう極端にはアップしない気がして。

安田

ふーむ、欲がないですね(笑)。たとえばテレビでお金持ちの大豪邸とかを見ると羨ましくなったりしませんか。「俺の住んでいる家はなんて小さいんだ」なんて落ち込んだりとか。


西崎

いや~ないですね(笑)。今の家で十分満足しているので。とはいえ、一般的に見れば僕は家とか車に割とお金を使ってきた人間だと思いますよ。特に車は大好きなので。

安田

へぇ、そうなんですね。じゃあフェラーリとかカウンタックみたいなスーパーカーを持っているわけですか。


西崎

あ、そっちじゃないんです(笑)。僕が好きなのは古い車で、今乗っているのはランドローバーのディフェンダーと、ミニの2台です。

安田

ん、それどちらも古くなくないですか?


西崎

現行品じゃなくて古いモデルに乗っているんです。ディフェンダーも旧型ですし、ミニも40年くらい前のモデルで。

安田

へぇ、なるほどなぁ。それはそれとして、もう一度上場の話に戻しますけれど(笑)。知名度という意味ではどうです? YouTubeXでは既に有名人の西崎さんですが、テレビにバンバン出るようになったらさらに有名になれますよ。


西崎

いや~、どうかな。個人的にはあんまりこれ以上前に出たくはないんです(笑)。YouTubeとかも事業と採用のために出ているだけですし。

安田

う~ん、なかなか強情ですねぇ(笑)。でも、実際お仲間の経営者さんと飲みに行くと上場の話になりませんか? 「西崎さんのとこは上場目指さないの?」みたいな。


西崎

言われることはありますね。でも、「今のところ興味ないです」って答えてます。

安田

なるほど。逆に上場を目指して頑張っている人は西崎さんにどう見えているんです? 冷ややかな目で見ているわけですか。


西崎

いやいや、シンプルにすごいなぁと思いますよ。僕と目指しているところが違うだけで。

安田

なるほどなぁ。まぁ西崎さんは、いわゆる「パブリックカンパニー」のお墨付きが欲しいというより、最初に仰っていたように自由に会社を経営したいタイプなんでしょうね。


西崎

そうだと思いますね。株主総会で株主に喜んでもらうために経営する、というのは僕の目指す人生じゃないというか。

安田

自分たちのポリシーを曲げなきゃいけない場合もあるかもしれませんしね。そう思うと、確かにトゥモローゲートさんは非上場ままの方がいいのかもしれませんね。

 

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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