第38回 集客力と決定力、どちらが重要?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第38回 集客力と決定力、どちらが重要?

安田

トゥモローゲートさんってすごい集客力が強い会社ですよね。SNSの拡散力もすごいし、イベントなんかで参加者を集めるのもうまい。


西崎

ありがとうございます。

安田

一方で、いくら集客力があっても決定力がなければ売上にはなりませんよね。それで聞きたいんですけど、集客力と決定力、ビジネスにおいてはどちらが重要だと思いますか?


西崎

今日もなかなか難しい質問ですね(笑)。集客力と決定力か質と量みたいな話ですよね。

安田

そうそう。問い合わせはたくさん来るけど受注率は低い会社と、「問い合わせは少ないけど来たものは絶対に決める会社。どちらがいいですか?


西崎

どちらかと言えば前者なんじゃないですかね。集客力があればいろいろな企業さんと話ができるので、結果受注できなかったとしてもケーススタディが溜まるじゃないですか。

安田

ああ、なるほど。それによってノウハウが構築されていき、やがては決定力も上がっていくだろうと。確かに納得感はあるんですが、私の経験上、やっぱりどちらかに振れちゃうんですよ。


西崎

集客力か決定力か、どちらかに偏っちゃうということですか?

安田

ええ。会社の場合、集客力が高まると基本的に決定力は落ちていくんです。たくさん問い合わせが来るから、そこまで営業を頑張らなくても受注できちゃう。結果、提案したりプレゼンしたりする力が必要なくなっていって、決定力が落ちていくと。


西崎

ああ、なるほど。確かに「どんなお客さんでもいいから売っていくスタイル」だと、そうなっていくかもしれませんね。

安田

ちなみにトゥモローゲートさんではそういう課題は感じていませんか。


西崎

ウチの場合はむしろ、年々お客さんを選ぶようになってきていて。言い方を変えれば、「集客力を敢えて落としている」んです。無駄な商談をできる限り避けるような方向にシフトしていて。

安田

ははぁ、なるほど。おもしろい。


西崎

1年くらい前まではウチもけっこうテレアポしていたんです。でもそれを一切やめて、SNSからのオーガニックな問い合わせか、あとはイベント開催からのリード獲得に絞りまして。

安田

なるほどなぁ。でも集客を制限してしまうと、結局営業個人の決定力頼みになってくるじゃないですか。そこは大丈夫なんですか?


西崎

むしろそれがいいと思っていて。「ぜひお手伝いしたい」と思える会社さんを選ぶことができるので、こちらも気合いが入るというか。そういう意味ではテレアポをやっていた頃より今のほうが決定力は上がっていると思いますよ。

安田

うーん、そうなんですね。まぁそれも結局、もともとトゥモローゲートさんの知名度と集客力があるから成り立つんでしょうね。だって「絶対にトゥモローゲートさんにお願いしたい!」っていう会社さんが行列を作っている感じでしょう?


西崎

いやいやいや、全然そんなことないですよ(笑)。もちろん昔に比べて営業はやりやすくはなってますけど、まだまだです。

安田

本当ですか?(笑) ともあれ、集客力があるから決定力をおざなりにしている、ってことじゃないわけですね。


西崎

ええ。仮にあのまま集客力に特化していてたら、安田さんが仰るように決定力が下がってたかもしれませんね。

安田

つまりまとめると、まずは集客力を上げていろいろなケーススタディを溜めていき、ある程度になったら集客を絞って決定力アップをしていくのがいいと。


西崎

そういう感覚ですね。ずっと集客力ばかり追っかけていても、結局中身は磨かれていかないと思いますので。

 

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

Twitter

1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから