「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第66回 いま20代の営業マンだったらどう働きますか?

私が営業マンをやっていた頃って、「行動量がすべて」みたいな時代で。1日何百件電話をかけられるとか、何十件訪問できるとかが評価される世界でした。でも今はいろいろな意味で変わってきたじゃないですか。

ああ、そうでしょうね。…ということはですよ、今のトゥモローゲートでは営業さんたちにそういうスタイルをやらせているわけですか? 「時間の限り電話をかけ続けろ」みたいな教育はしてないと(笑)。

は~、そうなんですね。私の時代にそんなことやってたら一発でクビだっただろうな(笑)。でもやっぱり私くらいの世代からすると、なんとも難しい時代になりましたよ。パッと見ただけではその人が働いてるのかサボってるのかサッパリわからない(笑)。

確かにそうですね。ただ、そうなってくると俄然若い子の方が有利になってきませんか。新しいテクノロジーを使うのは明らかに若い子の方がうまいわけで。昔ながらのベテラン社員が「AIなんか使ってズルいじゃないか」なんて言い出さないですかね。

というより、AIってそれを使う人間の経験や知識レベルに依存するんですよね。確かに若い子の方がツールに慣れるスピードは早いのかもしれませんが、だからといって必ずいいアウトプットができるわけでもなくて。そういう意味ではベテラン勢の方が圧倒的にレベルの高いことをやってます。

なるほど、確かにそうか。でも冒頭の話のように、営業スタイルが激変していることは事実ですよね。そういう変化についていけない年長者が出てきて、「もうここではやってられない」と転職していってしまうこともあり得るんじゃないですか?

ええ。過去に人事評価制度を抜本的に変えたことがあって。それまではすべて粗利ベースの評価で、要は「いくら売ったか」「いくらの仕事に関わったか」という評価でした。でもこれだと「たくさん売った人」だけが評価されることになって、うちのビジョンである「オモシロイ会社」という方面にはモチベーションが向かないわけです。

そうそう。それで評価の内容をガラッと変えまして、粗利以外の部分もしっかり見るようにした。結果として会社はすごくいい変化をしたんですが、一方で、粗利をとにかく追いまくりたい社員にとっては、やりにくくなる部分もあった。実際そこで退職していった人もいて。

ああ、なるほどなぁ。「今まで通り粗利だけで評価してくれよ」って思ったんでしょうね。…でも、それって成果を上げていた営業ほど感じることじゃないですか。お辞めになった方もガンガン売ってた人だったんじゃ?
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。