第79回 社長がSNSで「発信しないほうがいい話題」

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第79回 社長がSNSで「発信しないほうがいい話題」

安田

今って社長さんがSNSで情報発信することが増えてきてますよね。でも、完全に偽りの自分で発信しても、ブランド化は成功しない。でもかといって、100%さらけ出すわけにもいかないじゃないですか。


西崎

おっしゃる通りで、SNSをかなり活用している僕でも、もちろん100%さらけ出してるわけじゃないです。

安田

そうですよね。ちなみにその線引きってどこでするんです? 出すことと出さないこと、何か基準があるんですか。


西崎

そうですねぇ。人から共感を得られないような話はあまりしないですね。あとは完全なプライベートのことは出さないですね。

安田

ああ、よくわかります。例えば家族のこととかね。私も子どもがいることは言いますけど、名前や詳しいことは伏せています。


西崎

今はなかなか怖い時代ですしね。そういう自衛は当然必要だと思います。

安田

そうそう。ちなみに逆に、「社長として発信するならここは出した方がいい」と思うポイントはありますか?


西崎

事業や会社にまつわる話、それも失敗や恥ずかしい話はある程度出した方がいいと思っています。倫理的に問題があったり、法に触れるような話はもちろんダメですけど、良いことだけじゃなく悪いことも出すことでより信頼されると思うので。

安田

ああ、なるほどなぁ。ただ失敗は失敗でも、「パワハラしてしまいました」みたいなのはダメですよね(笑)。


西崎

ダメですね(笑)。今の時代にパワハラやセクハラは許されませんから、発信以前にまず行動を変えた方がいいでしょう。

安田

確かにその通りですね(笑)。ただ、セクハラは比較的線引きがはっきりしていますけど、パワハラは難しい部分もありませんか? 「声が大きいだけで怖い」と感じる人もいますし、「何でもパワハラって言われたらマネジメントできない」と悩む経営者も多いと思うんですけど。


西崎

まぁどこからパワハラと感じるかは人によって違いますから、確かに難しいですけどね。感覚的に8割以上の人が「パワハラだ」と思うことは避けるべきでしょうね。逆に言えば、12割しかパワハラだと思わないことなら、大丈夫な場合もありそうです。

安田

ああ、確かにそうですね。「日本人の何割がこれをパワハラだと感じるだろう?」という考え方はわかりやすいかもしれません。ちなみに他に「出さない方がよい話」ってありますかね。


西崎

まぁこれはよく言われることですけど、宗教や政治の話も基本的にはしませんね。

安田

ああ、確かに。私も「宗教とは人間にとって何か」「政治とは社会にどういう役割を持つのか」といった話はすることはありますが、特定の宗教や政党についての話題は一切出しませんね。


西崎

ですよね。ちなみにそれは「言わないだけ」で、実際にはあれこれ感じることはあるわけですよね?

安田

もちろん個人的にはあれこれ考えたり感じたりはしますよ。でも、それを公の場で発信することはありません。あまりメリットがあると思えないので。


西崎

そうですよね。テレビで政治家の発言を見て「それは違うんじゃないかな〜」と思うことはありますが(笑)、それをネット上でそのまま書くことはないです。

安田

そういう意味で言えば、西崎さんって業界や企業に対する批判とかもあまりしないですよね。どういう話題でも常にポジティブな印象を受けます。


西崎

そうですね。基本的に「これはダメだ」とか「おかしい」という発言自体しないようにしているので。何事もポジティブに受け止めていたほうが、クリエイティブなことができると思いますし。

安田

うんうん、よくわかります。例えば「退職代行」のような特定のテーマに対して考えを発信することはありますけど、個人的な不満や文句にならないよう気をつけています。


西崎

わかります。やっぱり発信するなら、何かしら「有益」なものであった方がいいですよね。それを見た誰かが嫌な気持ちになるようなことはSNSに出すべきではないと思います。

安田

なるほど。そう考えるとシンプルですね。いずれにせよ社長がSNSをやるなら、「どこまではオープンにするか」「どこは出さないか」のルールを、あらかじめ決めておいた方がいいんでしょう。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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