第86回 ものすごいスピードで進む省人化

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第86回 ものすごいスピードで進む省人化

安田

アマゾンをはじめとしたアメリカの大手IT企業では、AIによる省人化がどんどん進んでいるようですね。外食チェーンでも無人化が広がっていますし、日本でもリクルートがIT人材を大胆に削減しました。


西崎

そうですね。ついに本格的にAIが活用され始めた感じですよね。

安田

ええ。その結果、いわゆる「管理職」が不要になり始めている。大企業って言ってみれば「ホワイトカラーや管理職の塊」のような存在なわけで、つまり今後は大手ほど人を雇わなくなるんじゃないかと。


西崎

ああ、確かにそうかもしれませんね。大きな会社ほどAIが働くようになると。

安田

そうそう。100人でやっていた仕事が5人+AIで回せるようになったら、もうかなりの人員削減になる。「売上は大きいけれど人数は少ない」という“大企業が増えると思うんです。


西崎

確かにそういうイメージはできますね。でもそうなると、中小企業はどう勝負したらいいんでしょう。大手と同じことをしていても勝てないわけで。

安田

いわゆる「ラスト1マイル」、つまりお客さんに商品を届けたり関係性を築いたりする部分で差別化するしかないでしょうね。たとえば飲食なら「うちは接客も調理もリアルの人間がやっています」ということが強みになるのかもしれない。


西崎

なるほど。ただ、それだけ勝てるのかどうか。個人的にはむしろ、中小は中小でAI活用が肝になってくる気もするんです。

安田

ああ確かに。「人だけで」というより、AIと組み合わせて少人数でターゲットを絞り、付加価値のあるサービスを提供する方がイメージしやすいです。


西崎

そうなんです。だから中小企業に関しても、やっぱり仕事に必要な人数は減るんじゃないかと。独自の価値を生み出せる精鋭の数人が、AIを使って生産性を上げていく。

安田

ということは、大企業も中小も人員削減の流れになると。でもそうなったら仕事を得られない人がバンバン出てくるわけですよね。そうなったらどうするんでしょう。ベーシックインカムですか?


西崎

うーん、どうなんでしょう。でも死活問題ですよね。たとえばいま数万人の社員がいる大企業が数百人で回るようになっちゃったら、ほとんどの人は必要なくなっちゃう。

安田

そうですよ。ユニクロが柳井さんと数十人で成り立つようになっちゃうかもしれない(笑)。


西崎

でもそんな未来もあり得ますよね。実際、最近のユニクロの店舗では接客なんてほぼないし、入店から退店まで一言も会話がないことも珍しくない。既にその流れは始まってますよね。

安田

私なんてもはや店舗にも行きませんよ。全部オンラインで買っちゃいますから(笑)。最終的には実店舗も全部なくなっちゃったりして。


西崎

うーむ。今まで店舗スタッフとして働いていた人は困っちゃいますよね。

安田

でしょう? となるとやはりベーシックインカム? それともフリーランスが爆発的に増える未来が来るんですかね。


西崎

少なくとも「会社員」という働き方をする人は減るんでしょうね。どうなるのか本当に読めませんが、物価が上がっている現状を考えると、実際ベーシックインカムくらいしか解決策はないのかも

安田

確かに今までずっと会社員をやってきた人が、「よし、俺も会社をやるぞ!」とはならなそうですもんね。まぁ、そうせざるを得ない状況が来てしまうのかもしれないけれど。


西崎

仲間同士で34人規模の小さな会社をつくる人が増えそうなイメージはあります。もっとも、会社を作るのは簡単でも、成功するのはなかなか難しいですからね。

安田

そうですよ。しかも「起業家になるぞ!」と準備してきた人じゃないわけで。商売を学んでない人が起業しても、うまくいく可能性はかなり低い。残酷な話ですけど。


西崎

ともあれ、何とか対応していくしかないですよね。大手も中小も省人化に向かっていく、この流れはきっと止めようがないので。

安田

なるほど。変化のスピードは今後ますます上がっていくでしょうし、10年後なんて今と全く違う世界になっているのかもしれませんね。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

Twitter

1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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