第90回 「メタバース会社説明会」って何!?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第90回 「メタバース会社説明会」って何!?

安田

先日トゥモローゲートさんがニュースに取り上げられていて、「メタバース会社説明会」なるものをやられたと。これは一体どんな説明会なのか、どういう意図でやっているのか、ぜひ聞かなくちゃと思って(笑)。


西崎

ありがとうございます(笑)。まずどういうものかというと、いわゆる会社説明会をロブロックスやフォートナイトのような仮想のゲーム空間でやるイメージです。自分のアバターでその世界に入り、他の参加者と同じ場にいて、そこで座って説明を受ける。

安田

は~、なるほど。なんとも未来的な説明会ですね。西崎さんたち会社の人たちは実写というか、アバターではない状態でそこにいるんですか?


西崎

いえいえ、僕もスタッフも社員もアバターで登場します(笑)。もっとも、内容はちゃんとした会社説明会ですし、資料も投影できます。参加者全員がアバターであること、オンラインであること以外は普通の説明会と同じですよ。

安田

う~む、とはいえすごい話だなぁ。でもアバター参加ってことは、誰が来ているか分からないんじゃないですか? 顔も見えないわけだし。


西崎

仰るとおりです。ただ参加者にはチャット機能やメールで連絡は取れるので、あまり不便はないんですけど。

安田

ああそうか、なるほど。でもそもそもなぜこういうことをしようと思ったんです?


西崎

念頭にあるのは小中学生へのリーチですね。以前もお話したと思うんですが、僕らはもともと子ども向けの発信を積極的にやっているんですね。

安田

ビジネススクールや小学生向けの取り組みなどですよね。自著の献本の話もありましたし。


西崎

ええ。それはなぜかというと、大手や競合と同じ土俵で勝負しても勝てないと思っているからで。普通に就活イベントに参加したりやマイナビに掲載しているだけでは、すごい組織を作ることはできないだろうなと。

安田

う〜ん、仰る意味はわかるんですが、トゥモローゲートさんもすごい人気じゃないですか。いい人材がバンバン応募してくると思うんですけど。


西崎

確かに応募はたくさん来ます。でももっと強い組織になっていくためには、超早期の段階からお互いを知っている関係が重要だと思っていて。だからこそ小学生向けのインターンをやったり、メタバース説明会みたいなことをして、若い世代にPRしていかないとなと。

安田

ははぁ、さすがですね。ちなみに今回の説明会には実際何歳くらいの人が参加したんです?


西崎

それが、子どもはほぼいなくて、ほとんど新卒の子でした。このあたりには課題が残りましたね。小中学生へのリーチをどうやっていくか、もっと考えないといけない。

安田

ちなみにロブロックス内でそういう説明会をやるのって、誰でもできるんですか? 説明会用のブースを作るのも大変だと思うんですけど。


西崎

そうですね、お金さえ払えばできます(笑)。ブースも専門業者に作ってもらえますし。予算感としてはミニマムで300500万円くらいです。

安田

はは~、なかなかかかりますね!(笑) でも、そこまで予算をかけて会場を作っても、誰も来なかったら意味がないわけじゃないですか。今回の告知はどうやったんですか?


西崎

SNSで「この日に開催します。このURLにアクセスしてください」と募集しました。人気のゲームになるとおすすめに表示されて、自然に集まってくることもあるみたいですけど。

安田

なるほどなるほど。そういえば「社員を探せ」っていう企画もあったと聞きました。


西崎

やりましたね。「ブース内に社員が隠れているから探してみよう!」っていう遊び要素です。ゲームのマリオみたいに、落ちたらダメなポイントとかを設定して、参加者同士で時間を競ってもらって。メタバースだとそういう設計も可能なんですよね。

安田

は~、すごいですね。面白そうです。ちなみに手応え的にはどうだったんですか?


西崎

う~ん、正直言って、思ったようにはできなかったな、という感じです。参加者は20名ほどでしたが、回線が落ちやすく、音声が聞こえない、映像が固まるといった不具合も多くて。参加者もアバターで自由に動き回ってしまうので、説明会っぽい雰囲気でもなく(笑)。

安田

なるほど(笑)。でもそういう部分を改善していければ面白くなりそうですよね。今後の可能性は感じていますか?


西崎

はい、可能性は大きく感じています。ウチ以外にやっているところもほとんどないので、工夫すれば面白い展開になるだろうなと。

安田

将来的には「メタバース説明会パック」みたいに、自社商品になったりして(笑)。


西崎

可能性はあります(笑)。うちが成功すれば「自分たちもやりたい」という企業が出てくると思うので。そのためにもまずは実績をつくらないと。

安田

なるほど。自社採用目的であると同時に、将来的な商品化に向けた投資でもあると。面白いですね。またぜひ経過を教えてください。

 

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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