この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
追憶|大切な人の世界観を思い起こすための額装
「白い額装が絵に合いそうだな、と思います。でも、大切な絵だから、白ければいいだけじゃない。想いはあるけれど、専門的なことは分からないからどう選んだらいいか迷います。だから、門間さんに額装のコーディネートもお願いします。Eちゃんを知っていて、Eちゃんの絵を描いた門間さんなら、ぴったりの白い額を見つけてくれますよね」と、Hさんから依頼されました。
Hさんは、妹のEさんを病気でなくしました。Eさんは生前、私の個展に訪れて、何度かお会いするうちに色々話すようになりました。優しい笑顔が印象的でした。気配りのできる女性だったので、勤めている会社でもきっと細やかに周囲を包み込んでいるのだろうと感じました。また、姉のHさんを守るようなところもある、しっかり者でもありました。闘病している頃、私がタウン誌で取り上げられたのを見て、「門間さんが載っている」と嬉しそうに、会社の転勤で九州に引っ越したHさんに電話をかけたそうです。
たとえ姉妹で子供の頃は毎日一緒でも、社会人になれば顔を合わせる時間も減ります。仕事や友人との時間に軸足が移っていきます。それは、人としての確立ですが、家族が知らない社会での顔も持つことでもあります。だからEさんが亡くなった後、「Eちゃんを知りたい」と、Hさんはあらためて思いました。そして、Hさんが絵を依頼した時に、「妹を絵にしてもらうので、仕事をしていた頃の話を聴かせてください」と、Eさんの会社の同僚などにも声をかけました。ご両親とも話をゆっくりしました。
実は、精神分析や、セラピーの専門家は、20世紀から過去の共有の効果に注目してきました。ポイントは、単に話すのではなく、生き生きとした再現や共有です。Eさんの絵を作ることは、その助けになりました。
そうして、Eさんを追憶する絵は、ピンクが印象的で、ふんわりしたお花のような、抽象的な作品になりました。
確かに、白い額がぴったりです。
白い額、といっても画家の頭の中では、無数の白が浮かび上がっています。真っ白だけでなく、灰色やベージュが混じった白も、人は【白】と呼びます。灰色やベージュだけでなく、さまざまな色が混じった白も【白】と呼ばれます。
毎日の生活の中では、微かな色の違いに気づく人は少ないものです。気づかなくても生きていけるし、困らないからです。それよりも、仕事や生活に注意が向いているのが普通です。しかし、画家は細かな色の違いを見分けるのが仕事です。毎日眺める色の微妙な違いが、人に影響を与えることも知っています。
色の本当に気がつかないくらいの違いは、無意識のレベルで人に影響を与えます。例えば、その人に合っていれば、「なんとなくいい」「なんとなく心地いい」という感覚を得るとか、「落ち着く」「スッとする」などの言葉になります。合っていなければ「なんか変」「落ち着かない」といった気持ちになります。
でも、色のわずかな違いがそんなに影響を与えることを多くの人は気がつきません。そもそも気が付かないくらいの違いに注意を向ける機会が少ないからです。でも、プロの手助けがあれば、自分で選び取ることができます。
Hさんに、「Eさんにぴったりする白い額装で、数パターンのコーディネート候補を作ります。画家の目で見て、どれを選んでもぴったりする額装です。だから、安心して自分が一番『これ!』と思うものを選んでください」と伝えました。Hさんは、「ワクワクします!」と満面の笑顔になりました。
さて、信頼する熟練職人が揃う銀座イトウヤが、額装をコーディネートする場所です。サンプルを見ながら、まず、額装と絵を繋ぐマットの切り口を決めました。普通は斜め45度に切るのですが、Eさんの優しさを表現するために、直線のカットに決めました。
次に、マットのほんのわずかな色の違いから絵の世界観やイメージに合わせた色を選び出しました。そして、どれもEさんの絵にぴったりな額を三種類選びました。
美しいラインの額、優しい丸みのある額、幅広く優美な曲線の額。
候補選びが終わると、コーディネートの資料を作ってHさんに送りました。資料を見たHさんは、「どれも素敵です。そして、門間さんがいった通り、自分で選ぶことができるのに気がつきました。幅広く優美な曲線の額。これが、Eちゃんに本当にぴったりだと思います。これにしてください」
そして、絵の美しい色を引き立てる白い額装が完成しました。Eさんは、ナチュラルでシンプルなものが好きでした。だから、白さの中に、自然な風合いが滲み出る額を選びました。白い清潔感とともに、深みと優しさが伝わってきます。
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「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。
https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。