この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『プレッシャーを楽しむ』|夢実現のキーはメンタリティにあると考えるコーチ
「門間さんの絵を見て、オーダーに興味を持ちました。だから‥‥、ある理論に共感できるかどうかを聞かせてくれませんか?もしも、理解してもらえたら、オーダーしたいと思います。」
Sさんは目を覗き込むようにしていいました。
画家に理論?
読書は好きですが、どちらかというと文系です。
「実はこの理論は、わかる人とわからない人の二択です。わからない人には絵を描いて欲しくないのです」
ちょっとドキドキしてきました。「どうなるかわかりませんが、聞かせてください」
すると、Sさんは、話し始めました。「U理論といいます。2007年、10年の構想期間を経て、マサチューセッツ工科大学のC・オットー・シャーマー博士によって生み出された、『過去の延長線上ではない変容やイノベーションを起こすための原理と実践の手法を明示した理論』です。その対象は、個人から社会変革のレベルまで多岐にわたります。
3つのプロセスがあり、
最初に、Uの谷を下りて、自己観察をして、過去の思考を手放していく。
次に、Uの谷で内省して自分の源となる世界を知り、迎え入れる準備をする。
最後に、Uの谷を上り、直感をつかみ取り、行動に移すのです」
これを聞いた瞬間に、絵を描くときの創造的なプロセスと同じだと思いました。「絵を創るとき、先入観に囚われていないかいつも気をつけています。そうでないと、単なる思い込みで描き始めてしまいますから。その後に、禅のような透明な心持ちを大切にします。そうすると、自然に絵を描く方向性が見えてくるのです」と、画家の立場に置き換えて答えました。Sさんは、実感のこもった私の言葉に「良かった。ぜひ、私のオーダー絵画を描いてください。お願いします」と言いました。
「プレッシャーを楽しむアイコンとしての絵を描いて欲しいのです。
幼稚園からサッカーが好きで続けてきました。2003年から小学生のコーチを始めました。その中で、サッカー日本代表の監督だったオフト氏が、『アスリートは、アイコンタクトの瞬間にわかりあえるような、無意識のレベルでサッカーしている』というのを聞きました。そこから、ああそうか、技術は当たり前で、キーはメンタリティだと思いました。
そして、コーチとしての経験から、プレッシャーを楽しむメンタリティを伝えたいと考えました。だから、プレッシャーを楽しむというアイコン、象徴を依頼したいのです。
私が伝えたい相手は、スポーツにとどまりません。
気持ちを相手に伝えたいのにできない人。
もっと強くなれるのに弱気がでてブレークスルーできない人。
本当にやりたいビジネスがあるのに今のビジネスを辞められない人。
なりたい自分とのギャップを埋めたい、今を打破したい人幅広い人なのです」
「すでにイメージをお持ちですか?」
「はい、スパイラル、螺旋(らせん)のイメージです。
人は、あり方や状態は仮決めして一歩踏み出したら現実がかわっていく。それは、直線ではなく、スパイラルで上がっていく感じだと思うからです。
見る人がそれぞれ想像できて、いろんな状態のときにいろいろに見える‥‥、そんな多様なイメージを持たせるらスパイラルを描いてほしいです」
「横から見たり、斜めから見たり、上から見たり‥‥、スパイラルでも、いろんな表現ができます。どの角度からのスパイラルなのか、は、すでに思い浮かんでいますか?」聞くと、そこで初めてSさんはじっと考えました。
「そうですね‥‥。言われて見れば‥‥。スパイラルを、どう見たいのかが、今はピンとこないです」この言葉で、オーダーの出発点がわかりました。「複数の構想画を描きましょう。いろんな角度のスパイラルです。それを見たら、きっと、どこから見たスパイラルをアイコンにしたらいいかが選べますよ」と提案するとSさんの目が輝きました。「それは面白そうです!ぜひお願いします」
アトリエに戻って構想を練るのがビジョンクリエイターの出番です。あっという間に十を超えるスパイラルのいイメージが浮かんできました。そして、画家としてそれを画面に描き出しました。
次のセッションで描いた構想画群を見たSさんは、「実際に絵にすると、こんなにスパイラルの表現があるのですね!」興味深そうにじっと眺めました。そして、選んだのは、スパイラルを上から眺めたイメージでした。
その後、Sさんは、「選んだイメージをみて、アイコンのイメージは、男性的なのがいいなと思うようになりました。大切なサッカー、スポーツを思い起こさせる絵がいいです」完成するオーダー絵画が鮮明になってきました。そして、下絵では、情熱的なオレンジ色で表現することが決まり、本画で【変容】を象徴する紫色が加わりました。
そして、ついに完成した絵を目にした時。Sさんは、しみじみと「自分自身、スパイラルの道のりを歩きながら、一つひとつ、布石を打っていきます。そして、自分とその周囲の人と、みんなで夢を実現していきます」と言いました。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。