この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『眠り龍』|降りてくるイメージに感謝して、自分らしいやり方で自分らしく龍を描く画家になる
「門間さんに龍を描いてほしい」とい繰り返し言われるようになって、数年。遅まきながら自分が描く龍は、どうやら独創的らしい、と気がつきました。
美術史で、「奇抜だ、独創的だ」と言われる作家たちがいます。ほかの誰にも似ておらず、時に「奇想の画家」と呼ばれます。「門間さんの龍がいいから」「独創的だから」と言われるようになって、
独創的になろうとして独創的になるんじゃないよね。
と、しみじみ思うのです。
「独創的な人になりたい」と相談されたりしますが、【独創的になろうとして独創的なるのではない】と思います。自分の在り方を素直に受け取って、自分のできることに一歩一歩取り組んでいったら、【知らないうちに独創的になっちゃう】だけ。とてもシンプルです。
例えば、江戸時代の画家、伊藤若冲は、職業画家ではありませんでした。絵は、独学です。問屋の長男として生まれた立場から、早々に家督を譲って絵を描くという生き方を選びました。自分で模写して学び、自分で飼うことのできる鶏を何年も写生して作品を創ったり、禅に出会って自分の心構えを見出したり。商業をバックボーンとした知恵や資材、人脈を使って画業を築いていったのです。
現在宮内庁が所蔵する『動植綵絵』は、相国寺に寄進されました。この、絵の残し方にも、彼の在り方が表れています。「寄進状」のなかで、
「私は常日頃絵画に心力を尽くし、つねにすぐれた花木を描き、鳥や虫の形状を描き尽くそうと望んでいます。題材を多く集め、一家の技となすに至りました。……(中略)世間の評判を得ようといった軽薄な志でしたことではありません。すべて相国寺に喜捨し、寺の荘厳具の助けとなって永久に伝わればと存じます……」
注意深くよむと、職業画家とは違う優位性を上手にアピールしているのがわかります。若冲は、自分の出来る絵の描き方とともに自分の出来る絵への考え方を、真剣に考えていったのだろうな、と感じられます。彼の絵や言葉を噛み締めると、自分のポジションを最大限に受け取って、生き切った人間像が生き生きと浮かび上がってきます。
私の龍は‥‥といえば、イキイキとした動くイメージを絵にするだけです。他の人がどんな龍を描いているか、今、どんな龍が人気があるのか、全く気になりません。習字を幼い頃から社会人になるまで続けていたので、墨の深さが好きで、龍を描く時の現実をこえる深さを表現する時に取り入れます。この時、墨絵の龍や作品を紐解いたりしますが、古風な作品が好きなので、現代の龍にはまったく興味が湧きません。
龍は時空を超えて存在するものだから、それで良いと思っています。
ある時、依頼されていないのに、龍が思い浮かんだ時がありました。散歩していたら、眠り猫のように丸まって眠るピンク色の龍が浮かんできたのです。不思議なことがあるものだと、スケッチ感覚で絵に描き出しておきました。せっかくなので、月に一回行う、主宰イベントで展示をしてみました。
すると、その龍を見て「うちの子にそっくり、!」と目が釘付けになった人がいました。「まさか龍はいませんよね(笑)?」と聞くと、「チワワなんです」
この会話が、のちに一枚のオーダー絵画へとつながっていきます。それはまた別の物語です。
自分の頭に思い浮かんだ龍が、まさかチワワにそっくりと言われて、オーダー絵画につながっていくと想像することはできません。想像の範囲を遥かに超えています。でも、私の龍の絵では、かなりの確率で想像を超えたことが起こります。これはなんなのだろう、と不思議に思うことが何度もありました。そのうちに、来てくれる龍を全力で素直に描けばいいんだ、と思うようになりました。
その積み重ねの中で、「門間さんの龍は独創的だ」と言われるようになったのです。
自分の立ち位置で、自分にできる最大限を考えて、実際にやってみることの積み重ね。このしシンプルさが、独創性の魔法かもしれません。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。