vol.129【富士山】|夢に向かって行動する中で湧き上がった気持ちが日本人古来の自然観と結びついたHさんの場合

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『富士山|夢に向かって行動する中で湧き上がった気持ちが日本人古来の自然観と結びついたHさんの場合』

 

「一人ひとりの創造性をどう発揮するか?」を、都市論から考える『クリエーティブシティー論』があります。

アップルやグーグルのような創造性を持つ企業や人たちがこれからの社会をリードする、という考え方で、個人の創造性の喚起を重要としています。その中で、森や美しい水辺、豊かな自然のある都市が発展していることに目を向けられるようになり、例えば、アメリカのニューヨークでは木が持つ経済効果を定量的に示そうという動きもあります。

目を転じて、東京を振りあえると、都市計画がまるでなっていない、とよく言われます。

しかし、日本の歴史を振り返ると、私たち日本人のDNAの中に、自然を細やかに感じる感受性が脈々と受け継がれています。今ないものに目を向けるより、今まで受け継がれてきたものに気づき、それを生かすことを考えてみれば、自分の内にある宝を再発見することができます。

例えば、2024年の大河ドラマ「光る君へ」。主人公の紫式部が書いた『源氏物語』の季節や風景の描写が、物語の場面の性格や登場人物の心の動きと連動しているが多いのは、よく知られています。

『源氏物語』は光輝く一人の男性をめぐる多くの恋のあり方、生き方の物語で、登場人物の心に添って自然の様子が語られています。紫の上が亡くなる巻「御法」の絵巻では、源氏の悲しみが、大きく描かれた秋草に重なって表現されています。

自然の中に人があり、人の中に自然がある。

その一体感は、現代日本人の、私たちの中でもごく当たり前に息づいています。例えば、「時候の挨拶」。人の集うところ、会議でも、講演でも、まず季節の言葉が冒頭の挨拶の中に語られ、おもむろに本題に入っていくことがよくあります。

特殊なオーダー絵画【対話できる絵画】の中でも、自然の中に人があり、人の中に自然があるものがあります。

vol.22でお話しした、Hさんのオーダー絵画がそうでした。【富士山】と自分、が結びついたのです。夢に向かって実際に行動していく中で「夢が現実に近づいている」と感じるようになって、「富士山が浮かんできた」といいました。

vol.22で述べたように、Hさんの背中をポンポンと押すようなセッションを繰り返した後に、富士山のイメージが浮かんだのです。しかも、「黄色、ピンク、オレンジの富士山のどれか‥‥。現実にはないような、富士山の色がいいです」言い切りました。

「手に届かないと思っていた夢」が現実に現れたことにワクワクする心を、現実にはない色の富士山にしたい‥‥。

富士山とHさんが、「ありえないことが実現するのだ」、という気持ちで絵の中で一つになりました。

【対話できる絵画】が、数ヶ月かけて、最初のセッション、その次、とゆっくり進む中で、Hさんは足元にある夢の可能性に気づき、行動することでその可能性を現実にできることに気がつきました。

そして、自分の中にある創造する力に気がつき、感動したことが【富士山】に現れました。

Hさんの中に、私たち日本人のDNA、自然を細やかに感じる感受性があり、『源氏物語』の紫の上が亡くなる巻「御法」の絵巻で、源氏の悲しみが、大きく描かれた秋草に重なって表現されていたように、ワクワクする気持ちが「現実にない富士山」のイメージになって心に重なったのです。

水辺や森、豊かな自然を取り入れて一人ひとりの創造性を発揮させる都市論、『クリエーティブシティー論』も良い考え方であり、東京もより美しい都市であって欲しいと思います。

同時に、私たち日本人は、自然と人間とを結びつける心を持ち続けています。それは、一人ひとりの心の中にあるものなのです。

しかも、一人ひとりの独創的な感受性と結びついています。絵と言葉のやり取りの中で、その感受性の扉を開いたHさんは、【富士山】を見つけるとともに、自分だけの生活スタイルを見出していきました。

 

今回完成した作品 ≫『富士山:最初の構想画3枚』

 

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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