vol.149 【『自分美学』メディテーション絵画_持ち歩くはずの絵が仏壇に根付いたオーダー絵画依頼主の旅立ちの物語】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『自分美学』メディテーション絵画_持ち歩くはずの絵が仏壇に根付いたオーダー絵画依頼主の旅立ちの物語

 

「ひとは誰でも畳の上で大往生をとげたいと願っているだろう。家族か知人に見守られて静かに死んでゆきたいと考えるだろう。一生に一度、死というものから脱けきれない以上、その死を平和なものにしたいと願うのは当然である。しかし、私は、雪と氷に閉ざされた山岳地帯で、あるいは流氷の浮かぶ海の果てで死にたいと願っている」

と言ったのは、日本の小説家、児童文学作家の戸川幸夫。動物に関する正しい観察・知識を元にして動物文学を確立させた、明治生まれの人。

彼は、人がどう思うかを気にするよりも、自分を生きることを大切にした人でした。

戸川にとって、原始の世界が招く魅力は、なにものにも替えがたいもので、たとえ、苦しくて雪道にぶっ倒れても、たった一人とり残されてもいい、と言い切ることができました。

自分を生きる‥‥自分の美学を生きる。
生き方から死に方まで、自分だけのストーリーを持っている人でした。

戸川幸夫と同じように、自分の生き方から死に方まで、ストーリーを描き、
先月、米寿で亡くなったオーダー絵画のオーナーがいました。

絵のオーナーであるTさんと私は、母と娘ほどの歳の差がありましたが、なぜか「幼馴染の〇〇ちゃん」と呼び合うようになりました。きっかけは、Tさんの顔を見て笑いが止まらなくなった私にすっかり困惑して「変な子ね。‥‥、きっと前世は幼馴染だったからね」から始まりました。

最初はごく普通に交流会でお会いしたのです。その後、お茶をして意気投合。Tさんが主催する会に呼んでいただきました。すると、その日はなぜか目が合うたびに、私に意味なく「ははは」と大胆な笑いが込み上げてくるのです。
Tさんは、使用人がいるようなお家で育った家柄が良い方で、主催する会で「姫さま」の愛称で呼ぶ人もいました。だから、最初は「失礼ね!」と怒ったのですが、私の方は、とにかくなぜか笑いが止まりません。目が合うたびにただ笑いが込み上げるのが、Tさんにも伝わっていき、最後に、Tさんと私は「前世の幼馴染」になりました。

その後、ラスベガスにビジネス旅行に出かけた後にお会いしたり、互いの主催する会に出入りしたりの関係が続き、亡くなるまでのお付き合いは、10年前後。まさに幼馴染のように、言いたいことを言い合い、時に絶交し、でも、ケロッとしてまたお茶をのむ‥‥友達としてのお付き合いでした。

Tさんのオーダー絵画を描くきっかけは、突然訪れました。
お会いして数年経っている頃。いつものようにお茶をしている時に突然、「ゆかちゃんに絵を描いてほしいって、今思ったの。描いてね」と頼まれたのです。

「持ち歩ける絵がほしいの。軽くて、バックに入れて持ち運べるようにできる?」

「手帳サイズで、絵を保護するアクリル板に入れて、
楽々持ち運べるようにできますよ」
と伝えると、

「じゃあそうして。
幼馴染に頼むから、セッションは要らないの。
エネルギーを入れてね。
どんな絵かは、
全部お任せするわね。
絵をとっても楽しみにしている。
完成してから、ゆっくりとお茶を飲みながら絵を見て
お話できるのを楽しみにしているからね」
と、ワクワクした顔で言いました。

しかし‥‥、です。
その絵がTさんのバックに入って移動したのは、
その日の帰り道だけでした。

絵をお渡ししたあと。Tさんからメールが届きました。
「幼馴染のゆかちゃん。あのね、絵を仏壇に置いたら、そこに根が生えてしまったの。
持ち歩く絵じゃなくて、仏壇が定位置の絵だったわ」

持ち歩くために描いた絵は、仏壇に鎮座する絵としてTさんの毎日を彩るようになりました。それはまさに、自分が感じた通りに行動に移すTさんらしい言葉でした。

しかし、亡くなる前、一度だけTさんらしくないことがありました。入院して、その後ホスピスに移ったから、落ち着いたら住所を伝えると連絡があってから、一向に居処を伝えてこないのです。

いつもおしゃれで凛とした「姫」らしいカッコよさを美学にされていたので、躊躇しているのかもしれない‥‥。幼馴染として、「会を主催したり、たくさんの人に囲まれてきた人なのだから、もっと皆様にお知らせしたほうがいいと思う」と、率直にTさんにメールでお伝えすると、「わかった。ここにいるから、きてね」と、ホスピスでお会いすることになりました。今から振り返ると、亡くなる一週間たらず前のことですが、凛とした佇まいで、まるで喫茶店で話すかのように、ホスピスのベッドにポータブルのテーブルをおき、テーブルを挟んで椅子のように起こしたベッドのTさんと椅子に座った私は2時間、幼馴染そのものに、最近の愚痴から楽しかったこと、近況まで様々に話をしました。

話終わった後、Tさんから「一緒に写真を撮って」
と、抱き合うように一緒に写真をとりました。
SNSに投稿すると、たくさんの反響がありました。

亡くなった後に、Tさんの長年のご親友から
「Tさんは、ご自分で
お葬式もお墓も後片付けも全て仕切られて。
カッコ良過ぎだろ!って二人で笑い合った」
と聴きました。

Tさんも、
自分を生きる‥‥
生き方から死に方まで、自分だけのストーリーを持っている人でした。

‥‥Tさんのオーダー絵画は、仏壇に根付いたと同時に、
非公開オーダー絵画となりました。
そのため、
代わりに、メディテーション絵画を見ながら、
人生のストーリーを思い描いていただけたらと思います。

 

今回完成した作品 ≫『自分美学』:メディテーション絵画

 

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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