vol.51【祝福|どんな龍の絵がほしいかわからなかった、人を大事にするAさんの場合】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

祝福|どんな龍の絵がほしいかわからなかった、人を大事にするAさんの場合

「自分の龍の絵がほしいのです」と、Aさんに依頼されました。その時は、まさか、曼荼羅のようなたくさんの動物に囲まれた作品が生まれてくるとは‥‥、Aさんも私も、全く想像できませんでした。でも、人は、思っている以上のものを、心に秘めています。普段は「今日のスケジュールに集中しよう」「この商談を成功させよう」など、日常の生活に心が向いています。いつもは心の奥に眠っているのです。

会社で、マインドマップなどの思考拡散のためのツールを使うのは、日常の考え方だけでは、自分のポテンシャルを引き出せないからです。

気づきにくいのですが‥‥、実は、自分にとって重要なことや大切なものは、埋もれてしまいがちです。私たちは、社会に出ると「会社のために、家族のために、生活のために」など一生懸命働きます。そして、休日には、サッカーなどのスポーツ観戦や、コンサートにいく芸術鑑賞、ゲームなど、楽しく過ごして、また、何かのために働く。【自分の外】に心身が向いているのが日常です。

しかし、自分の可能性は【自分の内】にも目を向けることから始まります。例えば、野球選手の大谷翔平選手は、自分の内外に目を向けることで<二刀流>を選びました。自分の身体能力や気持ちという内側と、それが二刀流として貢献できるのかという外の環境。この両方を自覚的に見なければ、二刀流は生まれなかったでしょう。

残念ながら、自分の内外にバランスよく目を向ける方法は、学校では教えてくれません。だから、自分の外に目を向けがちになるのは、ごく普通のことです。一生懸命に貢献しようとする人ほど、外に目が向いて、自分を後回しにすることが多いものです。

Aさんは、男性ながら女性スタッフたちを細やかにサポートするのが仕事。穏やかな空気をまとっている、安心させる人です。会社のナンバー2。忙しい立場だから、自分は一体どういう龍がほしいか、ゆっくり考える時間がなかったかもしれないと、想像しました。

「どんな龍かイメージは湧いていますか?」と聞くと、「龍の絵がほしい、とは思うのですが、どんな龍がいいとか、どんな姿をしているのか、どんなところにいるのか‥‥、想像するのは苦手なのです。でも、すでにあるものではなくて、自分の龍がいいなぁ、という感じ」答えました。

「では、Aさんのお話を聞かせてくれませんか?」と水を向けました。「ええ?私の話ですか?」Aさんは龍のオーダーなのに、なぜ、自分の話なのか、と驚いたように聞き返しました。「はい、Aさんのお話です。絵を見ることで『ピッタリとくる!』と思うような自分だけの絵。それは、自分の嬉しかったことや、大事だったこと、大変だったことや辛かったことなど‥‥、全部にヒントがあるのです」そう答えると、Aさんはちょっと戸惑ったようです。「自分のことを話して絵に本当につながるのですか?」「たしかに、Aさんには、つながらないかもしれません。でも、私は美術大学の卒業制作の頃から、【自分の感じることを絵にするにはどうしたらいいか】考え続けて、描き続けた画家です。だから、Aさんの言葉から、Aさんにぴったりの絵をイメージするお手伝いをすることができます」

すると、Aさんは、「なるほど、だから、何をほしいかわからなくても、みんな門間さんのところにオーダーしにくるのですね。」とうなずきました。「でも、何を話したらいいのでしょう?」また、次の疑問が湧いてきました。

「なんでもいいのです。本当にほしい、ピッタリくる、必要なのはこれだったと、というのは、自分との共鳴で起こります。自分の心、魂との共鳴です。私に話したい、と感じることを話すことは、心が動いたことを表現するのと同じ。だから、Aさんの龍へのヒントになります。なんでもいいのですよ」これを聴いて、Aさんはにっこりしました。「そうか、なんでもいいのですね!」そして、ご自分のたどった道を振り返り始めました。

そうしたら‥‥、Aさんは、気づいたのです。人と人との繋がりを、どれほど大切にしてきたのか。どれほど、多くの人に囲まれてきたのか。そして、これからも、どれほど大事にしていきたいと思っているのか。

自分の内側を自分で再発見すること。そして、今いる環境と結びつけること。これは、毎日過ぎゆく時間を、心のそこから味わい尽くす充実につながります。

オーダー絵画を通じて、自分を再発見していくプロセスに、Aさんは目を輝かせました。

一頭の龍から、曼荼羅のような世界が広がっていく中に、宝物のような物語が紡がれていくのですが、それはまた、別の機会にお話しします。

 

今回完成した作品 ≫「祝福」

 

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「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。

https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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