vol.94【『構想:心の旅路』|一枚の絵があるときは汚く、あるときは綺麗に見えたKさんの場合】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『構想:心の旅路』|一枚の絵があるときは汚く、あるときは綺麗に見えたKさんの場合

 

何がきれいな色なのか?

人によって驚くほど違います。

錆びたような茶色に近い金色を見て、
「渋くてキレイ!」「濁って汚い」

白っぽい明るいピンクを見て
「澄んでキレイ!」「軽くて浮ついている」

自分が見えている世界と、
他の人が、見えている世界が違う。

オーダー絵画を描くために、話をして感じます。

【好き】は、主観。そこには正解がないのです。
誰かが言っている。
大多数の人が言っている。
◯◯も言っている。
と言っても関係ないのです。

しかも、目には個性があることも科学でわかってきました。
人の目には、二色型、三色型、という分け方があり、
赤色を感じるのが不得意な二色型の画家ではないか、と言われているのがゴッホです。ゴッホの絵にほとんど赤が使われていないためです。

では、二色型は不自由なだけかというと、そうではなく、三色型よりも形をはっきり捉えるのが得意といわれています。ゴッホといえば、浮世絵に影響を受けたことで知られています。平面的な形に惹かれたことからも、2色型の可能性を考えられるかもしれません。

最近では、単に型の違いだけではなく、色の感じ方にグラデーションがあることがわかってきています。人によって、同じ色でも明るさや色味などが微妙に違って見えているのです。

人類が生き残っていくために、たくさんの見え方があるように進化したのでは?と考える学者もいます。

私の経験では、目についてはまだまだ未知の世界がありそうな気がします。

例えば、
あるオーダー絵画では、澄んだ綺麗な色の絵を見ているのに
「濁って汚い」
という方がいました。

さらに驚くことに、同じ方が、数ヶ月経って同じ絵を見て
「こんなに綺麗な絵だったのか。どうしてあんなに汚く見えたのだろう」首を捻ったのです。

Kさんが絵を「汚い」と感じたのは、オーダー絵画のプロセスを展示するイベントの時だったそうです。自分のオーダーのプロセスを、他の人と一緒に見たくて参加していました。周りから「綺麗な絵ですね」声をかけられ、密かに「気を使ってお世辞を言っているのだ」と思ったそうです。

でも、数ヶ月経って「門間さん、綺麗な絵だったことがわかりました」と言いました。
「そうですよ」微笑むと
「門間さんは綺麗な絵を描いたのに、『汚い』って言っていた私をそっとしておいてくれたのですね」Kさんはしみじみいいました。

なぜ、汚く見えるのか。私に深い理由がわかっていたかといえば、そうではありません。では、Kさんに聞けばよかったのか?といえば、そうではない、と今でも考えています。

私自身、絵を通じて何かを得ようとするとき、言葉にできないからです。特に、絵を鏡に自分に向き合っている時はそうです。絵を自分の鏡にしているときは、絵の中にさまざまなものを感じ取ることがあります。でも、感じている最中は、言葉にするのが難しい。身に沁みて知っています。

Kさんがオーダー絵画を依頼した理由の一つが、【自己成長】でした。だから、Kさんの様子から、そっとしておくのがいいと感じていました。

言葉にできないものや、言葉で受け止めることができないものを、
絵は埋めることができます。

数ヶ月経って、汚く見えていた絵が綺麗に見えるようになってから、「自分は、今まで向き合わなかった嫌な自分と向き合おうとしていて、それが、『汚い』という感じ方に反映したのかもしれない」Kさんは振り返りました。

 

今回完成した作品 ≫『構想:心の旅路』

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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