vol.128【肩のり龍:本画下地|絵画は何を表現するかで作品の下地が変わるもの 近代の世界的有名な画家の起業家精神に学ぶ】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『肩のり龍:本画下地|絵画は何を表現するかで作品の下地が変わるもの 近代の世界的有名な画家の起業家精神に学ぶ』

 

ビジネスパーソンに例えると、新たな製品を自ら創って売り出す起業家になる画家。

現代アーティストでは、村上隆が有名ですが、近代だと誰になるでしょう?

代表的なのは、間違いなく藤田嗣治です。

世界的に知られる近代の画家、藤田嗣治(晩年にフランスに帰化したので、レオナルド・フジタとも呼ばれる)は、世界的な起業家でもありました。

藤田は、「自分はこのヨーロッパで、自分らしくどう個性を発揮しつつ歴史に食い込むか」を考えて行動しました。

思考法で言えば、目標の逆算/逆算思考をしたことになります。

逆算思考とは、目標を達成するために、逆の方向から考える方法です。 通常、目標は未来の状態を指し示すものですが、逆算思考では、目標の具体的な内容、達成方法、必要なアクションを逆の順序で考えることで、目標達成への道筋を明確にすることができます。

ヨーロッパ人に受け入れられる土台づくりとして、藤田が完璧なフランス人の振る舞いを身につけていて、藤田を頼ってフランスに渡った日本人が、「最初顔を合わせた時、外人にしか見えなかった」という逸話も残されています。

藤田は、エコール・ド・パリ(パリ派)と呼ばれています。エコール・ド・パリは、1920年代半ばから、パリで活動する同時代の外国人画家たちの総称として用いられるようになった言葉。よき時代のパリの香気を伝える、人間味あふれる芸術といわれています。
日本では、藤田のほか、シャガール、ローランサン、ユトリロなどの人気が高いです。

この4人は、それぞれ素晴らしい画家ですが、絵の下地作りでは、藤田がダントツの独創性を発揮しました。

芸術家ならば、下地の成分などに注目しますが、(実際に私にとっては興味深いのですが)
あなたがビジネスパーソンでしたら、藤田が独自の下地にたどり着く思考法を学ぶのをお勧めします。

独自の下地を創った、ということは、藤田が、画材の面でも逆算思考を使ったことに他ならないからです。

ビジネスではよく「異業種に学べ」と言います。その格好の材料が、藤田の独創的な下地です。現代の科学によって、フジタは普通油絵では使われないタルク(ベビーパウダーのようなもの)を使ったことがわかりました。

タルクは化粧品や医薬品にも使われる珪酸鉱物であり、脂感を帯びたガラス質の光沢を持ちます。藤田は裸婦や子供の美しい白い肌を描くために、絵の具でありつつ、化粧品にも使われるタルクに目をつけました。

タルクを油絵で使う前例はありません。藤田は「どうやったら肌に一番近い画面を作り出すことができるのか?」を考えて逆算思考したから、タルクに辿り着いたのです。

そして、下地の他にも、さまざまな試行錯誤を絶えず重ねることで、世界的な画家にもなりました。

絵の下地というのは、画家の想いが強く反映される作品部分です。
下地、という言葉が表すように、前面に出てくるものではありません。
専門家でなければ、一見では気づかないような効果です。しかし、じっと眺めると、じわじわと香り漂うように伝わってくる味わいを作り出します。

私の場合は、クライアントの想いやパーソナリティを絵の下地に表現することがよくあります。

そして、その下地をクライアントと共有します。

手乗り龍という作品では、キラキラと光る雲母を使いました。
この上に、色を描き重ねていきます。

オーダーメイド【対話できる絵画】の本画を描く時は、
下地から色の重ねまで、一枚一枚違います。

オーダーメイド絵画は、その人だけの絵画。

その人だけの体験の積み重ねが、世界でただひとりの人を形作るように、
その人だけの色の積み重ねが、
世界でただ一つのその人だけの世界を表していきます。

本画に取りかかる前に、お聞きしたお話。
何時間もお聞きしたとはいえ、クライアントにとって、
人生のわずか数時間です。

その数時間で伝わってきたストーリー。
わずか数時間ですが、貴重なかけがえのないお時間です。
全身全霊でキャッチします。

言葉。
目の輝きといった。心身での言葉。
構想画や、下絵を見ながら対話した、絵での言葉。

さまざまな言葉での対話を、思い起こし、思索しながら、
オーダー本画に向かいます。

キラキラした雲母から始まるオーダー絵画。

その具体的な話は、また別の機会に。

今回完成した作品 ≫『肩のり龍:本画下地』

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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