
今回はクリニック経営者 40代の方からご質問いただいております。安田さんの独特な視点、金子さんの理解困難な最初の挨拶(アバンコール?)、栃尾さんの美しい声をいつも興味深く拝聴しています。私はクリニックを開業したばかりの医師です。今までポッドキャストの中では特別化と差別化の話に最も感銘を受けました。ご存じのように、医療にかかる値段は全国一律で決まっているため、クリニックは他のクリニックより安売りするなど値段で差別化を図るのは相当困難です。特別化がクリニックの経営を軌道に乗せるのに重要だと思い、どうすれば患者さんと特別な関係を築けるのかを日々考えています。さて、質問です。現在どうすればスタッフを定着させられるのかを悩んでいます。クリニックではスタッフにあげられる給料にも限界があり、ちょっと嫌なことがあると給料の良い病院などに逃げられてしまいます。スタッフとの間にも特別化が必要だとは思うのですが、具体的にどうすれば良いか教えてください。ということです。

差別化というのはですね、例えば同じパン屋さんが2軒並んでるとしたら「うちは隣よりもクロワッサンが10円安いよ」とか「隣より1時間早くから店開けてますよ」とかっていう、同じ仕事やってる他のお店とか同業と比べての違いを打ち出すと。それを差別化って言うんですけど。「ここは違う」っていうとこですね。で、特別化っていうのは私が勝手に作った言葉でして、隣のパン屋とは関係なく、高かろうが、店が遠かろうが、朝早く開いてなかろうが、「私はそこで買いたいんだ」っていうような関係をお客さんの間と作ろうってことで、差別化の場合はね、例えば「10円安い」っていうのは、100人いたら100人ともどっちのほうが安いかっていうのは明確なんですね。でも、特別化の場合は、例えば金子さんが買ってらっしゃるヤマネみたいな……

だから、例えばキツネと王子さまも会う場所とか会う時間も、べつにどこの場所でもいいし何時でもいいんですよね。そういう、どうでもいいようなことを一緒にやるっていうかね、決めるっていうか、そういうのが多分友達を作るんだと思うんです。だから、例えばマグカップも、何らかの一緒に過ごしてきた時間とか、誰かと一緒に使った思い出みたいなのがあるから特別になるんですよね。クリニックさんなんで、何でしたっけ、全国値段は一律で、サービスも一律で、「特別な注射2本打っときます」とかできないわけなんで、どうすんの?ってことなんですけど。こういう相談はよく受けるんですけどね、色んな企業さんから。結局、みなさん企業の常識の中で考えちゃうじゃないですか、業界っていうか。で、医者もそうなんだと思うんですけど、やんないといけないことは決まってるんだと思うんですよ。でも、やっちゃいけないことってそんなになくて。だから、クリニックで絶対やらないといけないこと以外のことをやりゃいいと思うんですよね、余計なことっていうか。だから、キツネと子どもが会うのも余計なことじゃないですか、べつに毎日会う必要ないし。そういう余計なもんがないと。

何となく、この質問読んでると特徴が見えないんですよね。医療クリニックということ以外に、どんな思いで、どんなことがやりたくて、何を変えたくてやってんのか、みたいなのがよく分かんないんですけど。そういうのがないと、どこのクリニックにもあるもんじゃなくて、「べつにクリニックには必要ないけど、私はこれを毎日やってます」とか、例えば「すごい有名なアーティストの絵を飾ってます」とか。べつに必要ないけど、その人にとっては必要っていうか、そういうのが必要だと思うんですけど。余計なもの。

そうですね。それがすごくお医者さんとして真っ当な思いじゃなくてもべつにいいと思うんですよ。すごいアート好きとか、すごい旅行好きとか、すごい昆虫好きとか、べつに何でもいいんです。けれども、そこに何か共感する人との繋がりっていうのが、仕事以外の部分での繋がりみたいなのが必要なんじゃないのかなって気はしますね。
*本ぺージは、2018年6月20日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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