原因はいつも後付け 第71回「思考の癖」

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第71回》思考の癖

「何をやれば成功できるのか」
この答えを知ろうとする人はとても多いような気がします。

これは「何か」という原因を知ることが出来れば、自分も「成功」という結果を得られると考えているからだと思います。

じゃあ、なぜ多くの人が商売で成功するための「何か」を知ろうとしているにも関わらず、その殆どが失敗に終わってしまうのか?

それは、「何か」というのが実は1つの要素ではなく、いくつもの要素が複雑に絡み合っている「何か」だからであり、それを再現するのは非常に難しいからでしょう。

じゃあ、私たちが商売で成功している人たちから学べるものとは何なのか?

この問いに対する私なりの答え。
それが、「思考の癖」だと思うのです。

その人が「何をやったのか」ではなく、「なぜそれをやろうと思ったのか」という思考の癖に注目するということ。

冒頭に挙げた原因と結果に当てはめて考えるのであれば、「思考の癖」こそが原因であり、多くの人が原因と考える「何か」とは、思考の癖から生み出された結果だということです。

「そんな抽象的な話じゃなくて、具体的な答えを知りたいんだ!」
なんて思う方もいらっしゃるかも知れません。

ただ、他人の成功を再現するのは難しいという事実がある以上、私たちが具体的な答えを探し続けたとしても、その答えを見つけることは難しく、仮に答えらしきものを見つけたとしても、それは他者にとっても同じ答えであるということ。

そんな同じ答えを見つけて同じ行動しているにも関わらず、自分だけが違う成果を手にできる根拠なんてどこにもないはずです。

だから行動自体を真似しようとするのではなく、その行動に至った思考の癖を真似することで、そこから自分なりの「何か」を考える。

そして、この「考える」という過程こそが他者との「違い」を生むのであり、その「違い」こそが期待していた成功に近づくために欠かせない要素の1つなのだと、私は思います。

 

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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