// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
2019年の9月からスタートしたこのコラム。
おかげさまで今回で100回目を迎えることができました。
いつも読んでいただいている皆さま、ありがとうございます!
さて、そんな区切りの良い回ということもあり、今回は「記録と比較」というお題について考えてみたいと思います。
皆さんはプロ野球選手に対するインタビューで、こんなやりとりを聞いたことがあるのではないでしょうか?
インタビュアー「今シーズン最多本塁打という記録も見えてきたんじゃないですか?」
プロ野球選手 「それよりも次の試合に集中するだけです。」
記録に向けて熱いコメントを期待するインタビュアーに対し、記録に対して関心のなさそうなコメントを返す選手。
むかし、テレビでこうしたコメントを聞く度に思っていたのです。
「もっと本音で答えてくれよ。絶対、記録ねらってるだろ。」と。
でも一流と呼ばれる選手ほど、こうしたコメントばかりをする事実を見続けて、ある時ふと思ったのです。
「彼らは本当に記録に興味がないのかも知れない。」
「記録に興味がないからこそ、記録を残せる選手になってるんじゃないか」と。
記録とは言ってみれば、他の選手との比較の結果です。
だから、記録を残そうと意識するほど他者の動向が気になり、自分の仕事に集中できなくなってしまうのではないでしょうか。
逆に言うなら、記録を意識しないからこそ他者の動向に影響を受けず、自分の仕事に集中できた結果として記録を残せているということ。
そして、これは商売でも同じことが言えるような気がするのです。
商売をする上で、利益という記録を残すために競合の動向を意識してしまった経験があるのは、私だけではないと思います。
ただスポーツと同じく、競合を意識すればするほど競合の動きが自分のお店に影響を与えることとなり、そんな自分の仕事に集中していない商売が利益という記録を残せることはないのでしょう。
そう考えれば、私たちがやるべきなのは一流の選手同様、他者と自分の商売を比較することではなく、自分の理想とするお店づくりに向けた日々の改善と明日の営業に集中すること。
比較をしないからブレず、ブレないからこそ強い。
比較をしてしまうからブレるし、ブレるから弱い。
一流の選手のコメントは、私たちに「比較することの無意味」を教えてくれているのかも知れません。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/