第139回 新規集客を増やすための紹介カード

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

自分で商売をやっている人であれば、誰もが考えるであろう課題の一つ。
それが「集客コストの削減」ではないでしょうか。

中でも「リピーターさん」と「リピーターさんの紹介」による集客は、最もコストのかからない集客方法と言え、この2つの集客をいかに増やせるかが、お店の収益を左右する要因とも言えます。

だからこそ、私も過去に「紹介カード」なるものを作り、リピーターさんにカードを配ることで紹介による新規集客を増やそうと目論んだのです。


当時の私が作った紹介カード。
大まかな枠組みとしては、リピーターさんがお店をまだ使ったことのないお客さんに紹介カードを渡し、そのカードを持って来店されるとリピーターさんにも新規のお客さんにも得するメリットがある、というもの。

この枠組み自体はそんなに珍しいものではありません。
その為、私はこのカードにちょっとした特別感を盛り込むことで、リピーターさんが知人にカードを配りたくなる工夫をしたのです。

このアイデアが上手くいけば、集客コストを大幅に下げられる。

集客コストの削減は商売を続ける限り利益を増やしてくれる取り組みであるため、簡単に諦める訳にはいきません。何度も紹介カードの中身を改善しながら、紹介カードを持ったお客さんの来店が増える日を待ちました。

結果、どうなったのか?
何度も改善をしながら1年以上続けてみた紹介カードでしたが、結局その効果を実感できることはほとんどありませんでした。

「なぜ、こんなに改善しているのに効果が上がらないのか?」
当時の私は理解できませんでした。

でも、それから15年くらいが経った今、その原因を考えてみると答えが分かる気がします。今の私が思うその答えとは、改善すべきだったのは「カードの中身」ではなく「お店の中身」だったということ。

紹介カードの改善などに力を注ぐ時間があったのならば、もっとリピーターさんが心地よい時間を過ごせる店内改善に力を注ぐべきだったのでしょう。

当時の私は何かしらツールの正解を見つけることができれば、紹介による集客が増えると考えていました。でも、リピーターさんの紹介で集客できているお店がそんなツールに頼って集客しているのかと考えてみれば、その答えは明らかです。

紹介集客とはツールがあるから増えるものではなく、お客さんの中に紹介したいという気持ちが湧くお店や商品だから増えるのだということ。

自分の取り組みが決して無駄だったとは思いませんが、カードを作って「紹介してください」とお願いするだけで紹介が増えるなら、こんなに楽な商売はないんじゃないか、と当時の自分の取り組みを振り返ってみて思うのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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