第121回 私の事業計画に欠けていたもの

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

「自分で商売を始めよう!」
会社員時代にこう決意してから、私はほとんど毎日、仕事から帰った後に事業計画の作成をしていました。当時の計画書を今から見返すと「何じゃこりゃ」と思うほど雑な内容ではありますが、当時の私からすれば真剣そのもの。

でも、真剣そのものだったからこそ、私の計画には商売が上手くいくために必要な「ある要素」が欠けてしまっていたと思うのです。


事業計画を真剣に考えたからこそ欠けてしまった要素。
それが、商売における「遊び感覚」。

当時の自分にもしこんな事を言ったら「商売は遊びじゃない!」と怒られてしまうかも知れません。でも、これまで商売を20年ほどやってきて、つくづく感じるのです。

「商売が上手くいく人ほど、仕事に遊び感覚がある」と。

当時の私と同じように「商売は真面目にやり続けた人が成功できる」と考える方は多いと思います。この考え方を否定するつもりはありませんし、間違っているとも思いません。

ただ、今から自分の計画書を見返して、この考え方の問題点だと思うのは、商売に対して真面目に考えるほど目先の損得だけに囚われた選択をしてしまいがちで、損得だけに囚われた選択をし続けた先にあるのは他者と似たような商売だということ。

逆に言うなら、商売に対して遊びがあるから目先の損得だけに囚われない選択ができるのであり、損得だけに囚われない選択をするから他者とは違う商売になるということです。

事実、私が一緒に仕事をしているオーナーさん達を見ていると、確かに真面目に店舗経営に取り組んではいるものの、一方ではお店の売上には何の関係もないような所にこだわり、そのこだわりが他のお店にはない個性となり、その個性がお客さんを惹きつける要因になっていると感じるのです。

つまり、真面目に商売に取り組むという「仕事感覚」は大事であるものの、他者との違いを作り出すのは「遊び感覚」であり、開業時に私のお店がお客さんを惹きつけられなかった原因の一つは、この遊び感覚が欠如していたということ。

他者と同じ選択をしている限り儲けはないとするなら、儲けの源泉があるのは自分の「遊び感覚」。これが商売上手な人ほど仕事を楽しんでそうに見える理由なのだと思います。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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