本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
先日、コロナの影響でしばらく会えていなかったオーナーさんと、久しぶりに対面で話をすることができました。
このオーナーさんとは4年前の開業当初からのお付き合いで、開業当初こそ集客に苦戦をしていた時期はあったものの、今では完全に軌道に乗っており、自然と話題は今後の中期的な経営方針についての内容となりました。
そして、話をしている中で、私はつくづく感じたのです。
「商売が順調にいくオーナーさんは、お金を使う優先順位にブレがないな」と。
私がオーナーさんに感じた、お金を使う優先順位。
それは、何よりも先にお金を使う予定なのが「お客さんの居心地を良くするための投資」であり、その投資計画は1年先まで明確に決まっている一方で、自分の儲けについての計画は全く話に出てこないという、徹底したお客さん優先の投資順位。
私たちはつい「儲けが増えたら投資をしよう」と考えてしまいがちです。
この考え方は言ってみれば自分の儲けが優先で、お客さんへの投資を後回しにしていることの表れであり、開業前の私自身もこうした考えだったからこそ、自分の儲けばかりを計算した開業計画書を作ってしまったのだと思うのです。
自分の儲けを優先したはずの私が全く稼げず、お客さんの居心地を優先して考えるオーナーさんが稼げているという事実。
この事実から分かるのは、商売とはお客さんの役に立つための投資を優先するから結果として儲けが出るのであって、自分の儲けを優先してお客さんの役に立つための投資を渋るから結果的に儲からなくなるのだということ。
商売をしている人であれば誰もが少なからず「お客さんの役に立ちたい」と考えているだろうと思います。
ただ問題なのは、お客さんと自分の優先順位であり、当時の私のお店同様、この順位を間違えて考えているお店はいつまで経っても儲けが増えることはなく、自分の儲けの後にお客さんへの投資を考えている以上、お客さんへの投資をするタイミングが実際に来ることもないのでしょう。
お客さんの役に立ちたいと思うのなら、お客さんへの投資を優先する。
言葉にすれば当たり前のことのようにも思えますが、この当たり前のことを出来ていないお店が多いからこそ、オーナーさんの投資計画が新鮮に聞こえたのかも知れません。
そう考えるのであれば、私たちがお店の改善を考える上で意識すべきなのは、新しい知識を増やそうとすることよりも、「いま自分が当たり前と思っていることを行動に移すことが出来ているのか」ではないか、と教えられたような気もするのです。
20年にわたり辻本が試行錯誤してきたツールの実例も見ながら店舗経営を考えるコース。
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著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/