本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
2022年のコラムも今回が最後となります。
そんな2022年を締めくくる今回は、ちょうど一年前の2021年最後に私が書いたコラムの内容を振り返りつつ、2023年の飲食店の方向性について私なりの考えを書いてみたいと思います。
一年前に書いたコラムで私は2022年の店舗商売について、こんな事を書いていました。
「深夜の来店はまだ戻ってきていないだけ」なのか、そもそも「深夜までお酒を飲む市場がなくなってしまった」のか。
そんな先の読めない状況ではありますが、私としては「なくなった」と捉えて、次の一手を先手で打った方が良いと考えていて、実際に私のお店は時短要請解除となった後も営業時間はコロナ以前よりも短くしたままです。
このコラムを書いた後も、私のお店は深夜営業をしていません。
そのため、この時書いた「深夜の市場がその後どうなったのか」という答えについては私自身、実際に経験した訳ではないので分かりません。
ニュースなどの情報を見ている限りでは、深夜の売上は依然として厳しいという内容を目にする機会も多く、この事実から考えると一年前の「深夜の市場がその後どうなったのか」という問いに対する答えが「戻っていないだけなのか」、「なくなったのか」という二択ならば、その答えは「なくなった」と考えた方が良いのかも知れません。
「深夜の売上がなくなった」という事実だけを見てしまうと、今後の展望について悲観的になる方も多いでしょう。
ただ一方で、私のお店には興味深い変化も見えてきています。
それが、2019年(コロナによる自粛以前)と2022年(通常営業に戻って以降)を時間帯別の来店数で比較すると「早い時間帯の来店数は2019年よりも増えている」ということ。
長い自粛期間を終え、しばらく経っているにも関わらず、深夜に出歩く人が減ったままだと感じているのは私だけではないと思います。
自粛前に比べて、早い時間帯の来店数が増えた。
自粛前に比べて、深夜に出歩いている人は減ったまま。
この2つの事実から考えられる可能性の一つは、深夜の売上は「なくなった」のではなく、早い時間帯に「移動した」ということ。
そう考えるのであれば、私たちが力を注ぐべきなのは、人が出歩かなくなってしまった時間帯に何とか集客を戻そうとすることではなく、移動してしまった時間帯に自らのお店を変化させていくことではないでしょうか。
「早い時間帯に集客できるお店に変える」
これが口で言うほど簡単でないのは私も分かりますし、その方法というのもお店が置かれている状況によって変わってくるでしょう。
ただ、ひたすらお客さんが戻ってくることを期待して深夜に待っているよりも、早い時間帯で売り上げるお店のモデルに変化するために試行錯誤をした方が成果に近づける可能性は高く、その方法を考えるベストタイミングこそが、この年末年始の休みなのではないか、と私は思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/