第231回 スポーツの上達法と商売の上達法

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

私の子供は7年間、あるスポーツを続けています。
毎週末に行われる試合も含めれば、週に3~4日はスポーツをしており、この日程を7年間続けているという事は、合計すれば膨大な時間を費やしているといえます。

では、なぜこんなにも膨大な時間を費やしているのかと考えると、それは本人が「好きだから」というのもありますが、同時に「練習しないと上手くならない」という事実を分かっているからだと思うのです。


上手くなるために練習と試合を積み重ねる。

これが当てはまるのはスポーツだけではないでしょう。
楽器はもちろん、算数国語など、その他の勉強も全て自分の手や足を動かしながら少しずつ経験を積んで上手くなっていく。

そして、これは商売にも同じことが言えると思うのです。

でも、私たちはなぜか商売になると、この練習と試合の繰り返しのような「実践の重要性」を忘れてしまいがちな気がします。

楽して儲かりそうな商売を探してみよう。
成功した人の真似をすれば手っ取り早く稼げるはず。

このように考えて本やネットの情報から答えを探そうとしてしまうのは、私たちの心のどこかに商売だけには「特別な近道」があると期待している部分があるからではないでしょうか。

確かにスポーツにおいても情報をインプットすることは欠かせませんが、それはインプットした情報を練習と試合で実践して、そこから得た経験を次の練習で改善するからこそ上手くなっていくのであり、実践することなく「楽して上手くなる方法」ばかりを探し続けても、その選手が試合で活躍できることはないと思うのです。

そう考えればスポーツと同様に、商売を始めてみて何かを数回試しただけでは上手くいかないのは当然で、むしろ数回試しただけで上手くいくと期待することの方が無理があり、楽して稼げそうな方法を探してばかりで上手くいかない経験を積み重ねようとしない事こそが、スポーツ同様確実に成果に近づかない選択ではないか、と改めて子供が試合に向かう姿から教えられた気がするのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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