本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
高校時代、私は数学がとても苦手でした。
苦手だったのは数学の勉強をしなかったからではありません。むしろ苦手を克服しようとテストの何週間も前から数学だけを集中的に勉強したにも関わらず結果は毎回赤点で、クラスの最低点を取った記憶もあります。
じゃあなぜ、これだけ数学を勉強したにも関わらず赤点続きだったのかと考えてみると、その理由は答えに至るまでの過程を理解しようとせず、教科書に載っていた数式ばかりを記憶していたからであり、これは商売にも似たようなことが言えると思うのです。
「過程を理解しようとせず、数式ばかりを覚えようとする。」
今から振り返って、この勉強方法のどこに問題があったのか。
私の記憶が確かならば、この勉強方法が問題だったのは応用が全く効かなかったこと。
教科書と似たような問題であれば、数字を入れ替えるだけで答えを出せるものの、少しでも教科書とは異なる問題を出されると応用が全く効かず答えが出せなくなってしまうのです。
高校の数学が得意だった方からすれば、「なんて馬鹿な勉強をしているんだ」と思われるかもしれません。確かに今なら私もそう思います。
でも、当時の私と同じようなことを商売でやろうとしている人は意外と多いのではないでしょうか?
「儲かっているお店が何をやっているのかを知りたい」
「繁盛店の真似をすれば自分のお店も繁盛するはず」
このように考えてしまうのも、すぐに答えにたどり着けそうな数式ばかりを覚えようとする勉強方法に似ているように思えます。
ただ、商売では他人の成功方法を真似してもその結果を再現することが難しい以上、私たちが注目すべきなのは他店が「何をやっているのか」ではなく、「なぜ、それをやっているのか」という過程であり、過程を理解するからこそ応用を効かせて自分のお店ならではの答えにたどり着くことができるのではないかと思うのです。
過程を理解しない数式だけの暗記ではテストの赤点から抜け出すことができなかったのと同様、過程を理解しないで他店の真似をしているだけでは商売も赤字に近づいていってしまうような気がしてならないのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/