第247回 商売上手な人の情報収集

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

商売をする上で、情報収集をしない人はいないでしょう。
ここで言う情報収集とは、自分の業界の情報を本やネットから学ぶということに限らず、誰かとの何気ない会話などから商売のヒントを掴むといった幅広い情報収集も含みます。

そして、この情報収集について考えてみると、私にはどうも商売が上手くいく人には共通した情報の集め方があるように思えるのです。


私が感じる商売上手な人の情報収集の特徴。

それは「自分から集めにいく情報量」よりも、「周りから自分に集まってくる情報量」の方が多い状態になっているということ。そして、集まってきた多くの選択肢から自分が選択できるという状態になっているから商売も上手くいっているのではないか、ということ。

じゃあ、周りから集まってくる情報量の違いを作り出している要因は何なのかと考えると、それは情報の集め方といった「手段の違い」ではなく、集まった情報に対する「実行力の違い」にあるように感じるのです。

たとえ自分の頭の中にはなかったアイデアでも実際にやってみる。
やってみた結果を情報を提供してくれた人にフィードバックする。
実行とフィードバックをしてくれるから、もっと情報提供したくなる。
情報提供してくれる人が周りに増えて、さらに情報が集まるようになる。

このように自分に入ってきた情報を実際の行動に移してみるという実行力の違いが、自分に集まってくる情報量の違いを生み、商売の成果に影響を与えているのではないでしょうか?

誰かが情報を提供してくれているにも関わらず、自分の行動を変えようとしない。
これが開業当初の私だったように思いますが、こうした姿勢こそが自分に情報が集まらなかった原因であるのと同時に、商売が好転しない結果を生んでいた要因の1つのように思えます。

もちろん短期だけで考えれば、誰かの情報を元に行動をしようがしまいが、大した違いにはならないでしょう。それどころか、商売においては何かを試しても上手くいかない事の方が多いという事実を考えれば行動しない方が得かも知れず、これが実際の行動に移す人が少ない理由なのかも知れません。

でも、逆に考えれば行動に移す人が少ないということは、それだけ実際に行動をしてみる人には情報が集まりやすく、たとえ短期で多少の損があったとしても、結果的には商売が上手くいく選択肢を手に入れられているように思えるのです。

つまり「実際に行動するから選択肢が集まり、選択肢があるから商売が上手くいく」ということ。

これが商売上手なオーナーを見てきた私の実感であり、もし私たちが目の前の現状を変えようと思うのであれば、まずは小さな選択からでもそれを実際の行動に移し、行動を続けることによって、少しずつでも自分に情報が集まる流れを作っていくことなのかも知れません。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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